新幹線で運ぶ米流通 実証販売と政府戦略が交錯

早瀬 涼真
经过

仙台から東京へ直送 備蓄米活用の新しい流通形態

仙台から東京までの新幹線を利用して備蓄米を運ぶ取り組みを、生活用品大手とJR東日本が協力して実行。政府米1トンを5キロずつに分けて梱包し、予約者に東京駅で販売した。税込価格は2,160円で、消費者の関心を引く結果となった。

小売現場での混乱防止へ 農相が備蓄米の追加放出に言及

同日に行われた会見で、小泉農相は店頭在庫が逼迫しつつある状況を踏まえ、政府備蓄米のうち20万トンを随意契約で市場に投入する計画を明言。うち令和2年産10万トンは初の放出対象となり、今後も10万トンを備えとして残す姿勢を示した。

流通網の再構築 JRとの連携が物流の代替手段に

田中伸生執行役員は「物流の逼迫が進む中で、新幹線のスピードと安定性を活用した」と述べ、今後の代替輸送モデルとしての可能性を示唆した。JR東日本も需要に応じて本格展開を検討中で、公共インフラと民間流通の融合が模索されている。

米市場の反応には慎重論 市場在庫との兼ね合いが課題

すでに政府は随意契約および競争入札を通じて計61万トンの備蓄米を供給しており、さらなる追加が適切かどうか疑問視する声が出ている。市場価格を即座に引き下げる効果は限られ、消化状況に応じた需給調整が必要とされる。

ブランド重視と価格重視の対立 古米の扱いに温度差

令和2年産米については、一部の業者からブランドへの懸念が指摘され、安さより品質イメージを重視する小売業者には敬遠される可能性もある。米の販売戦略と店舗方針の違いが、今後の需給バランスに影響を与えると見られている。

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