海外事業の不振が業績を圧迫する結果に
2025年2月期の決算内容について、セブン&アイ・ホールディングスは4月9日に明らかにした。営業収益は11兆9727億円となり、前年を上回る増収となったものの、純利益は1730億円にとどまり、前年同時期から大きく減少した。これにより、2年続けての減益が確定した。
アメリカ市場での物価高が利益率を押し下げ
アメリカ国内で1万2000店舗以上を展開する同社は、近年の物価上昇の影響でコストがかさみ、収益性が悪化している。これにより、海外コンビニ事業が全体の利益を圧迫する要因となった。物価上昇への対応が遅れたことも、マージンの低下を招いたと見られる。
今後5年間で3兆円超の戦略的投資を実施へ
こうした状況を受けて、同社は2030年度までに国内外で3兆円を超える投資を計画。宅配サービスの強化や、店舗業務を効率化するセルフレジの導入拡大などに注力し、収益基盤の再構築を図る。これにより、成長市場への対応力を高める狙いだ。
買収提案の渦中、次期社長が方針を強調
現在、同社はカナダの大手コンビニエンス企業から買収提案を受けており、経営の方向性に注目が集まっている。次期社長に内定しているスティーブン・ヘイズ・デイカス氏は、「厳しい環境でも戦略的投資により差別化と成長は可能」と述べ、経営改革への強い意志を示した。
不透明な外部環境に対応しながら競争力強化へ
海外事業の苦戦と物価高による影響が続く中、セブン&アイHDは大胆な成長投資によって企業価値の向上と収益回復を目指している。新体制の下での経営戦略が注目される今後の展開に関心が集まる。