水産業界に広がる構造変化
くら寿司が養殖分野のデジタル化を進める背景には、国内漁獲量の長期的な減少と漁業従事者の不足がある。水産庁によると、国内の漁獲量はピーク時から大幅に落ち込んでおり、安定的な水産物確保が課題となっている。
子会社による養殖事業の展開
同社傘下のKURAおさかなファームは、AIやIoTを活用した養殖事業を担っている。有機水産物の生産に加え、スマート給餌機を用いた委託養殖を推進し、養殖から販売までを一体で管理する体制を構築している。
委託養殖が果たす役割
委託養殖では、稚魚や餌を提供した上で生産を依頼し、育成された魚を全量買い取る。これにより、生産者は価格変動リスクを抑えながら養殖に専念でき、収入の安定につながる。愛媛県宇和島市などでの展開も進められている。
データ導入で進む作業効率化
実証段階では、スマート給餌機の活用により餌の使用量を約1割削減し、生けすへの出向頻度も2〜3日に1回に減少した。初回出荷では約20トンが水揚げされ、全国の店舗で販売された。
持続性確保に向けた方向性
AIやIoTを取り入れたスマート養殖は、労働負担の軽減と生産性向上を同時に実現する手法として注目される。外食企業が主体となって養殖体制を高度化する動きは、水産業全体の持続性を支える一つのモデルとなっている。
