市内で確認された病害の概要
茨城県ひたちなか市では、2025年11月5日から18日にかけて、サツマイモが腐敗する病害「基腐病」が合計6件確認された。県は被害拡大を防ぐため、発生初期の畑を中心に消毒を実施し、周辺農地への影響を調査してきた。基腐病は根や塊根が黒く変色する特徴があり、収量や品質に深刻な影響を及ぼす。
感染源として浮上した九州産苗
県が公表した調査結果によると、対象地域では4〜5年前に九州地方から購入された苗が栽培されていた事例が確認された。九州では過去に基腐病の発生が報告されており、これらの苗が病原菌を持ち込んだ可能性が指摘されている。苗の流通が感染の起点となったとする見解が示された。
周辺農地へ広がった要因
感染が拡大した背景として、雨水の流れや人、農機具の移動による病原菌の拡散が挙げられている。また、有効とされる殺菌対策が十分に行われていなかった点も、近隣の畑へ広がる一因になったと県は説明している。これにより、当初は限定的だった被害が複数の圃場に及んだ。
県が実施した緊急対応
県は事態を受け、独自の緊急対応として発生地点から半径約500メートル圏内の農地を消毒した。11月27日には緊急対応を解除したが、その後も感染経路の解明と再発防止策の検討を継続してきた。調査結果の公表は、今後の対策を示す重要な節目となる。
再発防止へ求められる対応
県は今後、生産者に対し健全な苗の使用徹底と殺菌処理の実施を求める方針を示している。感染が確認された畑では2年間サツマイモを作付けできないため、転作を含む対応が不可欠となる。苗の流通管理と圃場衛生の強化が、再発防止の鍵となる。
