構造改革進展で黒字拡大、シャープが業績予想を上方修正

早瀬 涼真
经过

売上減でも純利益は倍増、454億円を計上

大手電機メーカーのシャープは、2025年9月中間連結決算で純利益454億円を記録し、前年同期比で約2倍に増加した。売上高は9503億円と13%減少したが、収益性の向上と構造改革の成果が明確に現れた形だ。営業利益は289億円と大幅に伸び、同社の再建が進んでいることを示した。

液晶事業縮小と堺工場売却が収益改善に寄与

長年の課題であった液晶事業の縮小が、収益改善に貢献した。テレビ用パネルを生産していた堺工場を売却したことにより、特別利益を計上するとともに固定費を削減。事業構造のスリム化によって採算性が改善し、赤字部門の影響を抑えた。

パソコン販売が想定超え、マイクロソフト特需

国内パソコン事業が業績を牽引した。米マイクロソフトの「ウィンドウズ10」サポート終了を控えた買い替え需要が拡大し、9月までの3か月間は販売台数が計画を上回った。これにより収益率が上昇し、同社の主要収入源として存在感を強めている。

テレビ事業の維持を明言、付加価値重視へ転換

沖津雅浩社長はオンライン記者会見で、テレビ事業の継続を改めて表明した。「付加価値の高い製品で差別化を図り、競争力を高めたい」と語り、低価格競争に陥らない経営方針を示した。高画質や省電力など、独自技術の強化を進める考えだ。

通期見通しを上方修正、黒字化目標を堅持

シャープは年度通期の最終利益を従来予想より65%引き上げ、530億円とする見通しを示した。液晶事業についても再来年度の黒字化を目標に据え、事業再編を加速させる方針だ。構造改革を軸に、収益基盤の安定と成長事業の拡大を両立させる構えである。

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