再建中の日産、通期見通しの発表を再度延期
日産自動車は6日、2025年4〜9月期の連結決算を発表し、純損益が2219億円の赤字に転落したと明らかにした。前年同期の192億円黒字から大幅に悪化し、中間期の赤字は5年ぶりとなる。世界的な販売低迷に加え、トランプ米政権による自動車への追加関税が収益を圧迫した。
同時に、2026年3月期の通期純損益予想の公表を再び見送った。費用算定中のリストラ関連支出を考慮する必要があるため、現時点では算出できないとしている。前期の最終損益は6708億円の赤字だった。
横浜本社を売却し財務改善を図る方針
経営再建策の一環として、横浜市西区にある本社ビルと土地を970億円で売却する。売却による特別利益739億円を今期に計上する見込みで、固定資産を流動化して財務基盤の安定を図る狙いだ。
イバン・エスピノーサ社長は決算会見で「賃料は発生するが、将来のリソース確保につながる」と説明した。また、同社はメキシコの独メルセデス・ベンツとの合弁工場での生産を11月で終了すると発表した。
販売不振が続く主要市場、中国と日本が大幅減
2025年4〜9月期の世界販売台数は148万台(前年同期比7.3%減)。特に中国市場が17.6%減、日本が16.5%減と落ち込みが目立った。ブランド価値の低下や新型車投入の遅れが響いたとみられる。
一方、北米市場では販売が2%増加した。日産は中国での電気自動車「N7」の販売好調を受け、通期販売計画を57万台から64万5000台へ上方修正した。
米関税や部品供給リスクが利益を圧迫
米国の追加関税による営業利益へのマイナス影響は1497億円にのぼった。さらに、オランダの半導体企業ネクスペリアの出荷停止や、米アルミ大手ノベリスの工場火災なども250億円規模のマイナス要因として織り込んでいる。
ジェレミー・パパンCFOは「関税の負担は今後も続く」と述べ、「逆風下でも利益を出せる体制を構築する必要がある」と強調した。
構造改革進行中も再建への道は険しく
日産は2万人規模の人員削減を含む構造改革を進めており、「想定通り進行している」と説明する。ただし、今後の施策の一部は未発表で、詳細は引き続き検討中だ。
自動車事業の流動性は3兆6000億円と十分に確保しているが、収益基盤の回復には時間がかかる見通し。営業損益は276億円の赤字で、本業の収益力低下も課題として残る。
