ドコモとWOWOW、共同制作で映像配信強化 新時代の連携へ

宇津木 柊
经过

コンテンツ連携を軸に戦略的パートナーシップを発表

通信大手NTTドコモと有料放送局WOWOWは4日、映像コンテンツ分野で包括的な業務提携を締結した。目的は、音楽・ドラマ・スポーツなど多様なエンターテインメント領域での共同制作と配信による顧客価値の拡大。
提携により、ドコモが運営する動画配信サービス「Lemino(レミノ)」とWOWOW双方で新コンテンツを展開する体制が整う。山本均社長は「両社の強みが掛け合わされ、かつてない体験が生まれる」と語った。

音楽コンテンツを拡大、アーティスト特典も新設

ドコモとWOWOWは音楽ライブの共同制作を進め、国内外の人気アーティストを起用する。2026年1月以降にはMISIAやDREAMS COME TRUE、BE:FIRSTなどのライブ映像を配信予定。
さらに、ドコモの有料プラン利用者には、ライブチケットの優先販売や限定イベント招待などの特典を提供する方針だ。両社はライブ映像制作に加え、リアルとデジタルを融合させた体験型イベントにも注力する。

超大作ドラマ「水滸伝」などで共同制作を展開

WOWOWが制作した「連続ドラマW ゴールデンカムイ」に続く大型作品として、作家北方謙三原作、織田裕二主演の「水滸伝」を共同で制作。2026年2月15日からLeminoとWOWOWオンデマンドで配信される。
両社は今後も「ドラマW」シリーズの話題作を順次Leminoで配信し、視聴者層の拡大を図る。映像制作力の強化により、国内市場だけでなく海外展開も視野に入れた戦略を取るとみられる。

スポーツ配信の強化、人気リーグの視聴環境を拡充

提携ではスポーツ分野の連携も盛り込まれている。NBAとUEFAチャンピオンズリーグの放送権を相互利用し、LeminoおよびWOWOWで配信を行う。これにより、利用者は一つの契約で幅広いスポーツコンテンツを楽しめる環境が整う。
WOWOWの放送技術とドコモの通信プラットフォームを統合し、映像品質のさらなる向上を目指す。

ドコモ、映像事業を新たな収益軸に 契約拡大を狙う

ドコモは6月に始めた大容量プラン「ドコモMAX」を中心に映像サービスを拡充しており、10月には契約数が150万件を超えた。前田義晃社長は「独自性ある映像が競争の突破口になる」と述べ、映像事業をグループ全体の柱に据える方針を示した。
同社の2025年9月期中間決算では営業収益3兆327億円、純利益3398億円と発表されたが、減益傾向にある。今回のWOWOWとの提携は、シェア維持と契約増加に向けた重要な一手となる。

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