三菱UFJが高輪に新たな拠点を発表
大手金融機関の三菱UFJ銀行は、約20年ぶりに有人店舗を新設することを明らかにした。新拠点は「エムットスクエア」と名付けられ、高輪ゲートウェイ駅前の商業施設に設置される。営業開始は9月12日で、資産運用や証券、カードなどグループの幅広いサービスをワンストップで提供する。
デジタル化と有人店舗の共存が判明
同行はスマートフォンアプリなどのデジタルサービスに注力し、有人店舗をかつての500超から約300にまで縮小してきた。しかし今回の出店は、デジタルとリアルの双方を重視する新たな方向性を示すものである。銀行業界全体が、オンラインサービスだけでは対応しきれない顧客ニーズに直面していることが背景にある。
預金競争の激化が背景に
「金利のある世界」では、顧客の資金がより積極的に動き、預金の獲得競争が再び重要となっている。同行は預金残高が228.5兆円に達する強みを生かし、資産運用や承継といった相談業務を通じて顧客基盤の拡大を目指す。山本忠司リテール・デジタル部門長は「預金量は大きな力になる」と強調している。
他行も同様の動きを展開
三菱UFJ銀行の動きは業界全体の流れと一致している。三井住友銀行やみずほ銀行も新しい形態の拠点を設け、商業施設やオフィス街といった人通りの多い場所で顧客獲得を強化している。銀行各社はデジタル時代におけるリアル店舗の役割を再定義している状況だ。
将来的な展望と地域拡大の影響
三菱UFJ銀行は今後、国内にある323店舗のうち最大3分の1をエムットスクエアへ転換する計画を持つ。第2号店は10月に大阪府箕面市で開設予定で、全国的に新業態の店舗網を拡大していく見込みだ。半沢淳一頭取は「銀行として新たな挑戦に臨む節目」と述べ、業界の変化を象徴する試みとした。