成長投資の布石として不動産資産を見直しへ

早瀬 涼真
经过

商業施設の一部売却を視野に外部資本を検討

サッポロホールディングスは、保有不動産の戦略的見直しを進めており、商業施設やオフィスビルの売却や外部資本導入について、複数の企業や投資ファンドと協議中である。国内外の十数社と提案内容の精査を行い、現在は候補を絞り込み、交渉を本格化させている。

4029億円規模の不動産資産が対象に

売却の対象とされる資産は、サッポロ不動産開発が運営する「恵比寿ガーデンプレイス」や「GINZA PLACE」などを含む。これらの資産は2024年12月末時点の評価で4,029億円に上り、都心の中核資産が含まれる点で市場の関心を集めている。

売却益をビール分野の拡大に活用へ

今回の不動産再編で得られる資金は、今後のビール事業のM&Aや成長投資に振り向けられる予定だ。非中核資産を売却し、主力事業に経営資源を集中させる姿勢を明確にしており、グループ全体の収益構造の転換を図る狙いがある。

年末にかけて結論 初めて具体的時期を公表

これまで「年内」としていた不動産事業に関する判断時期について、松出義忠専務は7日の決算説明会で「11月から12月ごろに結論を出す」と明言した。初めて時期を明示したことで、投資家や市場関係者からの注目が一層高まっている。

上半期の業績に為替や減損の影響

2025年上半期の連結決算で、サッポロHDの純利益は前年同期比で71%減の17億円にとどまった。これは、グループ内の味噌関連事業の売却に伴って減損損失が発生したことに加え、円高進行による為替差損の影響が大きい。売上収益は1%減の2,446億円と小幅な減少にとどまりつつも、事業利益は96%増の69億円を記録し、本業における収益性の回復がうかがえる結果となった。

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