資生堂、国内改革で収益改善も米市場は低迷

宇津木 柊
经过

利益急増も売上は減少傾向が続く

資生堂が発表した2025年上期の連結決算では、純利益が95億円となり、前年の水準から大きく回復した。構造改革による収益性の向上が背景にあるが、売上は4698億円で前年同期比7.6%減となり、依然として成長面には課題が残されている。

中国事業の縮小が利益に貢献

販売低迷が続いていた中国では、資生堂は一部店舗の閉鎖を断行。これが固定費削減につながり、営業利益の改善に貢献した。前年から実施された人員削減や拠点統合も含め、コスト最適化が進展している。

北米での買収ブランドが足かせに

米国では買収ブランドの不振が継続。特に「ドランク・エレファント」は売上が低迷し、米国子会社では赤字が前年の倍以上に拡大した。こうした状況を受けて、同地域では大規模な人員整理(約300人)に踏み切った。

国内市場では注力ブランドが支える

一方で日本市場は比較的安定している。主力の「SHISEIDO」や「ELIXIR」などがけん引し、国内販売は堅調だった。インバウンド需要の回復は限定的だったが、国内顧客による購入が業績を下支えした。

業績見通し据え置きで慎重姿勢を維持

資生堂は通期の見通しを売上9950億円、最終利益60億円と発表したが、前期が108億円の赤字だったことを踏まえると保守的な姿勢がうかがえる。今後は構造改革による成果をいかに持続させ、北米や中国での再建を図るかが鍵となる。

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