40年以上続いた海自と川重の不適切関係が判明
防衛省は7月30日、川崎重工業が裏金を捻出し、海自隊員に物品提供や接待を行っていた問題に関する特別防衛監察の最終報告を発表した。調査では、架空取引によって17億円もの資金がプールされていたことが確認され、長期間にわたる不正行為が明らかになった。
ゲーム機や高額私物提供、隊員の関与を確認
裏金は隊員13人へのゲーム機やゴルフ用品、腕時計などの購入に使用されていた。提供額は合計で約140万円に上り、1人あたり50万円相当を受け取った例もあった。この行為は海自隊員と川重の癒着を象徴するものとされている。
他の造船関連3社でも不正が認定
監察結果では、三菱重工業やJMU、佐世保重工業も海自隊員の依頼に応じ、艦内で使う備品を不正に提供していたことが確認された。これらのケースでは虚偽の工事指示書が作成されており、防衛省は海自の内部問題を深刻視している。
指導不足で幹部に処分、防衛相が陳謝
防衛省は海幕長に1か月間の減給処分を行い、増田事務次官を厳重注意とした。中谷防衛相は記者団に「長年の信頼を失墜させた」と陳謝し、再発防止への決意を強調した。斎藤海幕長も会見で「現場から改善を進める」と述べた。
組織的な不正防止の強化が今後の課題
防衛省は、指名停止などの措置は取らない方針を示したが、監察では「海自側の問題に起因する」と明記されている。今後は内部統制の再構築が急務とされ、不正根絶への取り組みが問われることになる。