太陽系の原点を示す「CAI」、世界初の年代測定

宇津木 柊
经过

約45億年前の固体を宇宙試料から発見

北海道大学を中心とする研究チームは、小惑星リュウグウから採取された試料の中に、太陽系が誕生した時期に生成された岩石を確認したと発表した。この岩石は「CAI」と呼ばれ、カルシウムとアルミニウムを豊富に含む物質で、その年代はおよそ45億6,730万年前に遡る。太陽系初期の環境を示す貴重な試料として注目されている。

探査機「はやぶさ2」による歴史的回収

発見のもととなった試料は、日本の探査機「はやぶさ2」が2019年に小惑星リュウグウから採取し、地球に持ち帰ったものである。このサンプルには、原始的な宇宙物質が多く含まれており、現在も複数の研究機関によって詳細な解析が進められている。北海道大学の研究は、その成果の一環である。

CAIの起源は太陽付近の高温領域

今回発見されたCAIは、太陽系が形成された直後に、太陽の近くの高温領域で生成されたとされる。生成温度は1,000度を超えると推定されており、その後、形成途上の惑星や小惑星に取り込まれた。リュウグウがこれを保持していたことは、太陽系の成り立ちに関する貴重な証拠と位置づけられている。

放射性元素分析が示す正確な年代

研究では、CAIに含まれる放射性同位体を分析することで、その形成年代を高い精度で特定することに成功した。約45億6,730万年前という結果は、太陽系が誕生したとされる時期と一致し、これまでに知られている中でも最古の岩石に位置づけられる。これは、国際的にも大きな意義を持つ発見といえる。

宇宙物質の起源解明に新たな展望

この成果は、太陽系の形成に伴う物質の起源や分布に関する新たな理解を促すものである。とりわけ、CAIのような原始的成分がどのようにして現在の天体に保存されたかを解明することは、惑星形成理論においても重要な課題だ。今後の研究で、他の小惑星試料との比較や異なる分析手法が加わることで、より深い知見が期待されている。

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