消費は記録更新も購買傾向に変調の兆し

井村 智規
经过

外国人訪日者が半年で2,000万人超え 記録的な伸び

2025年上半期、日本を訪れた外国人旅行者数は前年同期比21%増の2,151万人となり、これまでで最速で年間2,000万人を突破した。特に春節や桜のシーズンに観光需要が集中し、数値の押し上げにつながった。

中国・韓国が回復を主導 ロシアからも増加

最も多かったのは韓国(7.7%増)で、中国(53.5%増)がこれに次ぐ。さらに、ロシア(103.7%増)やスペイン(49.1%増)など、これまで目立たなかった地域からの伸びも確認された。航空便の復便が後押しとなり、アジア以外の地域からの来日も広がっている。

SNS発の噂が香港からの来日減に影響

一方で、香港からの来日者は0.4%減少。特に「7月に日本で大地震が起こる」というデマがSNSで流れ、旅行控えが広がったことが背景にある。観光庁は「政府として情報発信を続けた」としているが、影響の打撃は避けられなかった。

観光消費額は記録も支出構造に変化

2025年上半期の訪日外国人による国内消費は4兆8,053億円に達し、前年同期比22.9%の増加で過去最高となった。一方で、宿泊費の高騰が目立つ一方、物販関連の支出は伸び悩み、免税品の売れ行きは鈍化傾向を見せている。旅行者の支出が商品購入から体験重視へと移行しつつある様子がうかがえる。

目標達成に向けた戦略的取り組みが鍵

観光庁の村田長官は「アジアを中心に高い旅行需要があり、成長軌道にある」と強調。2030年に訪日客6,000万人、消費額15兆円という政府目標に向けて、地方誘客と海外プロモーションの強化を今後の柱に据える考えを示した。

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