スマホ完結型店舗で混雑解消を検証する新モデル

早瀬 涼真
经过

オフィス内に開設された実験型コンビニ

ローソンはKDDIと共同で、最新のデジタル技術を集約した実験店舗を大阪市内に開設した。出店場所はKDDI大阪第2ビルの社員専用フロアで、関西では初の取り組みとなる。オフィス内に立地する特性を生かし、短時間で買い物を済ませたい需要に応える店舗モデルを検証する。両社はこの場を、次世代型コンビニの実証拠点と位置付けている。

レジ不要で決済まで完結する仕組み

新店舗では、ローソンの専用アプリに搭載されたスマホレジ機能を活用する。利用者は商品を手に取った後、アプリ上で購入操作を行い、決済までをその場で完了できる。従来のレジ待ちが不要となり、東京都内の先行店舗では平均滞在時間が約2.5分に短縮された実績がある。混雑時間帯の回転率向上が重要な検証項目となる。

AIとロボットによる売り場運営

店内には防犯カメラ映像を基にしたAI分析が導入され、欠品が発生しやすい時間帯や人の流れを把握する。得られたデータは売り場改善や商品補充の効率化に活用される。さらに飲料陳列ロボットを配置し、重労働の自動化を進めている。これにより、常時配置する従業員数は最小限に抑えられている。

データ活用を前提とした実証環境

オフィス内店舗は、同じ利用者が繰り返し来店する点が特徴である。ローソンとKDDIは、購買データや利用動線を継続的に蓄積し、商品提案やサービス設計の高度化につなげる方針を示している。過去には東京で自動調理ロボットを導入した実験も行っており、今回の大阪店舗はその延長線上に位置付けられる。

既存店展開を見据えた技術検証の場

両社は、今回の実験で実用性と効果が確認できた技術を、既存店舗へ段階的に導入する考えを示している。KDDIがローソン株の50%を保有する関係性を背景に、小売分野でのデジタル技術活用を強化する。オフィス特化型モデルの成果が、将来の店舗運営の在り方に影響を与えるかが注目される。

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