米大手2社がアンソロピック支援強化を示した動きが判明
米マイクロソフトとエヌビディアが、生成AI分野で存在感を高めるアンソロピックへの巨額出資に踏み切る方針を明らかにした。両社は合計で最大150億ドルを投じる枠組みを示し、成長領域と位置づける先端AI技術の確保を進める。発表は11月18日に行われ、米国の生成AI市場を巡る競争がさらに加速している状況が浮かび上がった形だ。今回の支援により、AIモデル開発を担う企業と基盤技術を持つ大手企業との関係が一段と強まる構図となった。
出資額の内訳が示すマイクロソフトとエヌビディアの狙い
両社の発表によれば、マイクロソフトは最大50億ドル、エヌビディアは最大100億ドルを投じる意向を示した。対象となるアンソロピックは、対話型モデル「クロード」を開発し、生成AI市場で競合する存在として注目されている。出資を通じてアンソロピックが用いるクラウド基盤にはマイクロソフトの「アジュール」が位置づけられ、同社は総額300億ドル分のサービスを購入する計画を掲げた。また、エヌビディアの最新半導体を活用した性能向上も進められる。
オープンAIと並ぶ競争環境におけるアンソロピックの立場が判明
アンソロピックは、対話型AIを先導してきたオープンAIの競合として知られ、企業としての独自性を強めてきた。創業者は、過去にオープンAIで幹部を務めていたダリオ・アモデイ氏らで、2021年に新たな体制を立ち上げた経緯を持つ。今回の大規模な支援により、市場では複数のフロンティアモデルが並立する構図がより明確になった。マイクロソフトは引き続きオープンAIとの提携を維持するとしながら、複数のモデルを取り込む姿勢を示した点が注目される。
アンソロピックの技術強化と両社の協業範囲拡大が発表
今回提示された取り組みの中では、アンソロピックがエヌビディアの先端CPU「グレース・ブラックウェル」や「ベラ・ルービン」を活用し、計算能力を引き上げる計画が示された。最大1ギガワット規模の計算提供が約束され、モデル開発体制の強化につながるとされる。さらに、マイクロソフトは自社のアジュールAIファウンドリー利用者に対し、クロードの最新モデルへのアクセスを提供する仕組みを整える方針を示した。
生成AI市場の競争構図に影響する提携の広がりが浮上
今回の発表は、AI市場における大手企業の戦略に影響を与える動きとして位置づけられる。特に、巨額の資金と技術基盤が結びつくことで、新興企業の研究開発能力が急速に拡張される体制が構築される。生成AIを巡る利用環境が拡大する中、米大手2社が複数モデルへの投資を通じて開発競争の幅を広げる姿勢を示した点が、今後の市場動向に影響する可能性がある。
