アップルが国内投資拡大、サプライ網も再編成へ
アップルは8月6日、アメリカ国内での製造能力を強化するため、1,000億ドル(約14兆7,000億円)の追加投資を発表した。この動きは、2月に示された5,000億ドルの投資計画に続くもので、累計では過去最大の国内投資となる。部品生産やサプライチェーンの再構築が重点施策として示された。
目次
トランプ大統領、国内回帰戦略の成果を強調
ホワイトハウスでの共同記者会見で、トランプ大統領は「海外からの資金流入ではなく、米国への再投資が始まった」と強調。中国製品への関税導入以降、企業に対して国内製造の圧力をかけてきた背景がある。今回のアップルの決定は、その政策の具体的な成果と位置づけられている。
米国24工場でのチップ生産計画が始動へ
アップルは、今後24か所の米国内拠点で年間19億個超のチップを生産する計画を明らかにしている。主要パートナーには、サムスン電子やブロードコム、テキサス・インスツルメンツなどが名を連ねており、高度な製造技術の国内導入が進行している。これにより、輸入依存からの脱却を目指す。
iPhoneの米国最終組立化は時期尚早の見通し
クックCEOは、完全な米国製iPhoneの実現にはまだ時間がかかると述べた。現時点では、ガラス部品やプロセッサなどの基幹部品の国内生産に注力しており、「高度な生産設備と訓練が必要」とした。一方で、トランプ大統領は「方向性は正しい」と評価し、さらなる協議を続ける意向を示した。
新たな関税方針が半導体業界に与える影響
トランプ氏は、国外製造の半導体に対して最大100%の関税を課す可能性に言及した。ただし、米国での製造を進める企業は免除の対象とする考えを示しており、アップルのような企業にとっては関税回避のための生産地移行が今後の成長戦略に直結する可能性がある。