AI企業オルツの不正で市場の信頼性に影響拡大

長峰 詩花
经过

不正会計の規模が4年間で119億円超に

AIサービスを展開する「オルツ」が4年間で119億円超の売上を虚偽計上していた事実が第三者委員会により明らかになった。取引実態のない案件を売上に含める手法が用いられ、財務諸表全体への影響が指摘された。

東証が信頼回復へ向けた措置を発表

東京証券取引所は8月31日付での上場廃止を決定し、違反内容の重大性を強調した。上場から10カ月余りでの廃止は異例であり、投資家保護と市場の信頼性維持を理由に迅速な判断を下したと説明した。

民事再生法申請で企業再建を模索

財務状況の急速な悪化により、オルツは30日東京地裁に民事再生法の適用を申請し受理された。今後はスポンサー企業を探し、債務整理と事業再建を並行して進める方針を明らかにした。

取引所と証券会社が審査の適正性を主張

日本取引所グループの山道裕己CEOは「事前察知は困難だった」と述べつつ、市場関係者と連携した再発防止を進めると表明した。一方、大和証券の吉田光太郎CFOは「規定に基づく審査を実施した」としながらも、資料改ざんのリスクを踏まえ審査強化の必要性を指摘した。

投資家保護と市場信頼回復の課題

今回の事案は、スタートアップ企業の上場審査や監査体制における課題を浮き彫りにした。市場関係者は投資家保護と市場信頼回復のため、監査精度向上や審査過程の厳格化が不可欠との認識を共有している。

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