中東2カ国歴訪で海上輸送問題を協議へ
茂木敏充外相は8月17~22日、サウジアラビアとオマーンを訪れ、両国の外相らと地域情勢や海上交通を巡って協議する。2月28日に米国とイスラエルがイランへの攻撃を始めて以降、日本の外相が中東を訪問するのは初めてとなる。日本のエネルギー供給にも直結する航路の安定を主要な議題とし、関係国との協力を深める方針だ。
米国とイランは6月、戦闘終結を宣言した覚書で最終合意を目指す60日間の交渉期間を設定したものの、協議は停滞している。こうした状況の中で、原油輸送の重要航路であるホルムズ海峡の正常化にも明確な見通しは立っていない。
サウジと2海峡の航行確保を巡り意見交換
サウジアラビアではファイサル外相と会談し、ホルムズ海峡とイエメン沖のバベルマンデブ海峡について、安全な船舶通行を実現するための協力を話し合う。バベルマンデブ海峡は、ホルムズ海峡の通航が制約される中で原油を運ぶ代替経路として重要性が高まっている。
一方、同海峡周辺ではイランの支援を受けるフーシ派が航行中の商船を攻撃し、輸送の安全を巡る懸念が続いている。茂木氏はサウジ側と現状に対する認識を共有し、海上交通を安定させるための連携を確認する。
イエメン暫定政権とも国内安定化を協議
サウジ滞在中には、イエメンの国家元首に相当するアリーミ大統領評議会議長との面会も予定されている。イエメンでは内戦の影響が続いており、暫定政権は国外に拠点を置いている。会談では国内情勢を安定させるための支援について意見を交わす見通しだ。
フーシ派を巡る情勢は、イエメン国内だけでなく、周辺海域を通る国際物流にも影響している。日本側は地域の安定と船舶の安全を一体の課題として捉え、関係国との意思疎通を図る。
オマーンとはイラン情勢と2国間協力を確認
オマーンではバドル外相との会談に臨む。同国はホルムズ海峡の開放に向けてイランとの協議を継続しており、日本側は今後の連携について確認する。米国とイランの交渉が進まない中、対話を続けるオマーンとの情報共有が焦点となる。
会談では地域の安全保障に加え、日本とオマーンの経済や観光を含む関係強化についても話し合う。中東情勢への対応と並行し、2国間協力を広げる機会と位置付ける。
エネルギー安保を背景に中東各国との連携強化
日本にとって、中東からの原油輸送を支える海上交通の安定は重要な課題となっている。サウジアラビアは地域情勢への影響力を持つとともに、日本のエネルギー安全保障上も重要な相手国である。今回の歴訪では、ホルムズ海峡とバベルマンデブ海峡を巡る協力を軸に関係強化を進める。
サウジなどではイランによる攻撃でインフラ施設に被害も出ている。茂木氏は復旧・復興への協力についても表明する見通しで、海上輸送の安全確保から地域安定化まで幅広い課題を巡り、中東側との調整を進める。
