日墨外相がエネルギー協力の強化で一致、中東情勢の緊迫化を受け日本は原油調達先の多角化と安定確保を本格的に推進へ

宇津木 柊
经过

日墨外相会談で資源分野の連携確認

茂木敏充外相は8月3日午後、日本時間の4日、訪問先のメキシコでベラスコ外相と会談した。ワーキングランチを含めた協議は約2時間に及び、両国の外交関係や経済分野における今後の協力方針を確認した。会談では、緊張が続く中東の状況を踏まえ、産油国であるメキシコとエネルギー分野の連携を深めることで合意した。

茂木氏は会談後、共通の価値や原則を持つ両国の関係を、さらに高い段階へ進める考えを示した。ベラスコ氏からは熊本県で発生した地震への哀悼と連帯が伝えられ、茂木氏が謝意を表明した。

中東に偏る原油輸入の構造を見直し

日本はこれまで、輸入原油の9割超を中東地域から調達してきた。一方、米国とイランの攻撃が続き、イランがエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡を封鎖したことで、安定的な輸入を維持する上で新たな調達先の確保が課題となった。今回の外相会談では、こうした供給上の不確実性を背景に、メキシコとの資源協力が主要な議題となった。

メキシコは世界有数の石油生産国で、原油生産量は世界11位とされる。メキシコ産原油は中東産と性質が近く、日本国内の設備でも取り扱いやすいことから、代替供給源の一つに位置付けられている。

メキシコ産原油100万バレルを輸出

高市早苗首相は4月21日、メキシコのシェインバウム大統領と電話会談を行った。シェインバウム氏は同月23日の記者会見で、日本に向けてメキシコ産原油100万バレルを輸出すると発表した。7月には、その原油を積んだタンカーが日本に到着しており、両国間の資源協力はすでに具体的な段階へ進んでいる。

日本にとって、メキシコからの輸入は中東からの供給を全面的に置き換えるものではない。ただ、調達地域を広げることで、特定地域の情勢悪化によって原油輸入全体が影響を受ける危険を抑える取り組みとなる。

供給網や科学技術でも協議を拡大

両外相はエネルギーだけでなく、自動車関連産業をはじめとする環太平洋地域の供給網についても意見を交わした。原材料や部品の流れを安定させ、経済安全保障上の課題に対応するため、2国間の協議を強化する方針で一致した。今年度中には、事務レベルによる「ハイレベル経済対話」の初会合を開催する方向で調整する。

同対話では、供給網の強化を中心に、両国の経済関係を支える課題を幅広く扱う。科学技術分野でも協力を進め、国際社会における連携を継続することを申し合わせた。

中南米諸国との資源外交を継続へ

メキシコには約1600の日系企業拠点があり、その数は中南米地域で最も多い。茂木氏は、日本企業が安定して事業を続けられる環境を整えるようメキシコ側に協力を求めた。ベラスコ氏も、貿易や投資を含む両国の経済的な結び付きを強化する姿勢を示した。

茂木氏は今回の訪問に続き、産油国のエクアドルなど中南米各国を歴訪し、8月9日に帰国する予定だ。中東情勢による供給リスクが高まる中、日本政府はメキシコを含む中南米諸国との関係を深め、原油調達先の分散と安定供給の確保を進める。

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