大企業の賃上げ率が3年連続で5%台を維持
経団連が8月4日に発表した2026年春闘の最終集計で、大手企業の月例賃金の平均上昇率は5.37%となった。定期昇給と基本給を引き上げるベースアップを合わせた数値で、5%台となるのは3年連続となる。前年の5.39%と比べると0.02ポイント低下したものの、引き続き高い水準を保った。
集計は、回答内容を確認できた20業種146社を対象として実施された。対象となった従業員は約84万5000人で、主に業種団体から提供された情報を基にまとめられた。大手企業を中心に、賃金水準を継続して引き上げる動きが定着していることを示す結果となった。
平均引き上げ額は1万9752円で最高額
月給の平均引き上げ額は1万9752円となり、前年から557円増加した。現在の集計方法が始まった1976年以降で最も大きい金額となり、上昇率だけでなく、実際の増額幅でも過去最高を更新した。
賃上げ率は前年をわずかに下回ったが、引き上げ額は前年を上回った。賃金の基準となる月給水準などによって率と金額の動きには違いが生じるが、今回の集計では従業員が受け取る月例賃金の増加額が一段と拡大した。企業による賃金改善の規模を金額面から確認できる内容となっている。
物価上昇や人材確保が賃金改善を後押し
高水準の賃上げが続いた背景には、物価上昇への対応がある。生活に必要な商品やサービスの価格が上がるなか、企業は従業員の負担を踏まえ、賃金の引き上げを進めた。好調な企業業績を従業員に還元する姿勢も、賃金改善を支える要因となった。
人手不足への対応も重要な理由に挙げられている。必要な人材を確保し、長く働いてもらうためには、賃金や待遇の改善が欠かせないとの認識が企業に広がった。採用競争が続くなか、賃金は人材の獲得と定着を左右する重要な条件となっている。
さらに、従業員の能力や働く環境に資金を振り向ける「人への投資」を強める動きもみられた。今回の結果には、短期的な物価対策だけでなく、企業の成長を支える人材基盤を強化する考えが反映されている。
製造業と非製造業がそろって5%台を確保
製造業の平均賃上げ率は5.36%だった。業種別では印刷が6.81%、非鉄・金属が6.45%、機械金属が6.04%となり、製造業全体の水準を上回った。複数の分野で6%台の引き上げが実施され、幅広い業種に賃金改善の動きが及んだ。
非製造業は5.38%となり、製造業を0.02ポイント上回った。情報通信が8.28%と特に高く、建設も6.76%に達した。デジタル分野や建設分野など、人材需要が強い業種で大幅な賃上げが行われたことが、非製造業の数値を押し上げた。
製造業と非製造業はいずれも5%台となり、特定の分野だけに限らない賃金上昇が確認された。一方、個別の業種では引き上げ率に差があり、人材需要や各業界の事業環境が賃金決定に反映された。
継続的な賃金引き上げの定着を示す結果
経団連の新田秀司労働政策本部長は、今回の最終集計について、賃金引き上げのさらなる定着が進んだとの認識を示した。平均賃上げ率が3年続けて5%台となり、平均引き上げ額も過去最高を記録したことで、企業の賃金改善が継続的な取り組みとなっていることが明確になった。
2026年春闘では、前年を上回る率を目指す動きだけでなく、物価への対応、人材の確保、従業員への利益還元など、複数の目的を踏まえた賃上げが進められた。企業が人材を重要な経営資源と位置付け、待遇改善に資金を投じる姿勢も強まっている。
最終集計は大手企業を対象としたものだが、3年連続の5%台と過去最高の引き上げ額は、賃金上昇の流れが継続していることを示した。企業業績や人手不足を背景とした賃金改善が、大企業の春闘で定着する形となった。
