ニチレイの物流業務を襲ったシステム障害
冷凍食品大手のニチレイで発生したシステム障害を巡り、「ランサムハウス」と名乗るハッカー集団が攻撃への関与を表明した。声明は7月21日夜、一般の検索サービスでは閲覧しにくいダークウェブ上に掲載され、セキュリティー会社S&Jが内容を確認した。
ニチレイでは7月13日以降、サイバー攻撃の影響によって業務システムが正常に機能しない状態となった。冷蔵倉庫から商品を搬出する作業や、冷凍食品を出荷する工程などに大きな支障が生じ、同社の物流機能が直接的な影響を受けた。
食品事業では、商品の製造だけでなく、倉庫の在庫管理や配送先への発送を支える情報システムも重要な役割を担う。今回の障害は、デジタル基盤の停止が実際の商品供給に波及した事例となった。
犯行を掲げたランサムハウスの主張
ランサムハウスは掲載した文書の中で、ニチレイの内部にある情報の一部を持ち出したと主張した。さらに、機密情報が外部に公開される事態を避けるには連絡する必要があるとして、同社の経営陣に接触を促した。
産経新聞は同集団について、ロシア系とみられるハッカー組織だと報じている。企業の顧客情報や業務上の資料を取得し、情報の公開を材料に相手側へ圧力をかける手法を用いることで知られている。
声明の掲載によって攻撃者側の主張は明らかになったが、実際にどの範囲の情報が持ち出されたのかは公表されていない。流出したとされる資料の種類や量についても、提供された情報では確認されていない。
ランサムウエアを用いる攻撃手法
ランサムハウスは、ランサムウエアを使ったサイバー攻撃に関与してきた集団とされる。ランサムウエアは、企業のパソコンやサーバーにあるデータを暗号化するなどして利用を妨げ、復旧や情報の非公開と引き換えに金銭を求める攻撃手法である。
今回の声明でも、取得したとするデータの公開を示唆しながら、ニチレイ側へ連絡を求める内容が示された。ただし、同社が具体的な金額を提示されたか、正式な支払い要求を受けたかは明らかになっていない。
国内では同様の攻撃による企業被害が相次いでいる。情報の暗号化だけでなく、データを外部へ持ち出して公開を迫る方法も用いられ、業務停止と情報管理の双方が問題となっている。
ニチレイは関係機関との対応を継続
ニチレイは7月22日、ランサムハウスによる犯行声明を認識していると発表した。警察をはじめとする関係機関と連携し、対応を進めている。
一方、攻撃の詳しい経路や被害を受けたシステムの範囲、身代金を求められているかどうかについては、情報の公表を控えた。調査や捜査への影響を踏まえ、具体的な状況を開示していない形となる。
現時点で示されているのは、7月13日から物流関連業務に大きな影響が出ていることと、ハッカー集団が犯行を主張したという事実である。システムの復旧状況や通常の出荷体制へ戻る時期についても、元の記事では明示されていない。
食品供給を支える情報基盤の課題浮上
ランサムハウスは2025年10月、サイバー攻撃によって物流機能が止まった通販大手アスクルの事案でも関与を主張していた。異なる業種の企業であっても、倉庫や出荷を管理するシステムが停止すれば、商品を顧客へ届ける業務に広範な影響が及ぶ。
ニチレイへの攻撃では、冷蔵倉庫からの搬出や冷凍食品の発送に支障が生じた。食品を安定して流通させるためには、保管設備や輸送手段に加え、それらを管理するデジタルシステムの維持も欠かせない。
同社は警察などと連携して対応を続けている。今後は、被害を受けた範囲や情報流出の有無、物流機能の回復状況が焦点となる。
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