5月経常黒字は3兆9683億円、輸出拡大と貿易黒字転換が全体を支える展開に

井村 智規
经过

5月経常収支は16カ月連続の黒字を確保

財務省が7月8日に公表した5月の国際収支速報によると、経常収支は3兆9683億円の黒字となった。黒字は16カ月連続で、前年同月に比べて19.5%増加した。海外とのモノ、サービス、投資収益の取引を合わせた収支は、引き続き大幅なプラスを維持した形だ。

ただ、民間調査機関による予測中央値の4兆1213億円には届かなかった。黒字幅は拡大したものの、市場が見込んだ水準を下回った点も特徴となる。全体としては、貿易収支の改善と第1次所得収支の堅調さが経常黒字を押し上げた。

輸出増加と貿易黒字転換が全体に寄与

輸出から輸入を差し引く貿易収支は69億円の黒字となった。前年同月から5040億円改善し、赤字から黒字へ転じたことが経常収支全体を支えた。輸出額は前年同月比14.7%増の9兆3602億円となり、輸入額の9兆3533億円をわずかに上回った。

輸出では、アジア向けの半導体など電子部品や非鉄金属が伸びた。米国向けでは自動車輸出が好調だった。輸入も8.1%増えたが、輸出の伸びが上回ったことで、貿易収支は小幅ながらプラスに転換した。

サービス収支は旅行黒字縮小で赤字転落となる

一方、サービス収支は103億円の赤字となった。前年同月に比べて1411億円悪化し、黒字から赤字へ転じた。旅行収支の黒字幅が縮小したことが主な要因となった。

訪日外国人旅行者数は355万9900人で、前年同月比3.6%減少した。中国からの来訪者が減ったことが影響した。一方、海外へ出国した日本人は112万7400人となり、前年同月比4.7%増加したため、旅行関連の収支改善力は弱まった。

第1次所得収支が高水準の黒字を維持する

海外投資に伴う利子や配当などを示す第1次所得収支は、4兆2756億円の黒字だった。前年同月比で2.3%増え、経常収支の大きな柱となった。貿易収支の黒字幅が小さい中でも、投資収益が全体の黒字を大きく支える構図が続いている。

貿易収支とサービス収支を合算した収支は34億円の赤字となった。前年同月と比べると3628億円改善したが、サービス収支の落ち込みが響き、プラスには転じなかった。経常黒字はなお、第1次所得収支に大きく依存する構図が続いている。

黒字継続下で収支構造の変化が焦点となる

5月の経常収支は、輸出増と貿易収支の改善を背景に黒字幅を広げた。自動車や電子部品などの輸出が伸び、貿易面では一定の回復が確認された。一方で、サービス収支は旅行収支の鈍化により赤字へ転じ、分野ごとの差が明確になった。

エコノミストの間では、今年の経常黒字が過去最大を更新するとの見方もある。ただ、黒字の多くは海外で得た収益に依存しており、国内の設備投資や輸出拡大に直結しているわけではない。経常黒字の持続性に加え、その収益が国内経済にどう波及するかが今後の焦点となる。

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