中国からの宿泊者減少が鮮明に、5月統計が示した訪日市場の変化と地域差の実態を宿泊動向から数字で丁寧に読み解く視点

宇津木 柊
经过

国・地域別で差が出た宿泊動向の実態を確認

観光庁が7月6日に発表した5月の宿泊旅行統計では、外国人宿泊者数の減少に加え、国・地域別の動きにも差が出た。国内宿泊者全体は延べ5339万人で、前年同月比4.8%減だった。日本人は延べ3957万人で1.4%減、外国人は延べ1382万人で13.4%減となった。外国人全体では減少したが、国・地域別に見ると、すべての地域が同じ方向に動いたわけではない。

中国の宿泊者数は大幅な減少を記録した状況

国・地域別のデータがある施設で比較すると、中国からの宿泊者数は前年同月比55.3%減となった。5月の外国人宿泊者数が全体で13.4%減少する中、中国の落ち込みは特に大きい。観光庁は、外国人宿泊者数の全体的な減少には中国人旅行者の減少が影響していると説明している。2026年に入ってからは、2月を除いて外国人宿泊者数が前年を下回っており、中国市場の動きが統計上でも注目される結果となった。

増加したマレーシアとロシアの動きに注目

一方で、マレーシアやロシアなどからの宿泊者数は増加した。外国人宿泊者全体では前年を下回ったものの、国・地域によっては増加が確認されている。これにより、5月の訪日宿泊市場は一律に縮小したのではなく、地域ごとに異なる動きが表れた。中国からの宿泊者減少が全体を押し下げる一方、別の地域では増加が見られたことが、今回の統計の特徴となっている。

客室稼働率に表れた地域差の広がりを確認

観光庁は、都道府県別を含む4月の2次速報も公表した。宿泊施設の客室利用状況を示す稼働率は全国で59.1%だった。都道府県別では、東京が78.7%で最も高く、長野は33.4%で最も低かった。宿泊需要の水準は地域によって大きく異なり、都市部と地方部で稼働率に差が出ている。外国人宿泊者数の変化だけでなく、地域ごとの宿泊施設の利用状況も市場の実態を示す指標となる。

訪日市場の変化を映す5月統計の意味を整理

5月の宿泊旅行統計は、訪日宿泊市場が高水準を保ちながらも、国・地域別の構成に変化が出ていることを示した。外国人宿泊者数は3か月連続で前年を下回り、中国からの宿泊者は大幅に減少した。一方、マレーシアやロシアなどでは増加が確認され、地域ごとの動きには違いがある。2025年の延べ宿泊者数は確定値で6億6111万人となり、過去最多を更新した。今回の統計は、その高い水準を前提に、訪日市場の内訳が変化している状況を示している。

この記事をシェア