5月訪日客が前年割れとなった統計上の背景
日本政府観光局が6月17日に発表した5月の訪日客数は、推計で355万9900人となった。前年同月比では3.6%減少し、2カ月連続で前年の水準を下回った。訪日需要全体は高い水準を保っているものの、中国からの来訪減が統計上の減少要因として表れた。
1〜5月の累計では1793万6000人に達した。単月で前年を下回った一方、複数の国・地域では5月として過去最高の客数を記録している。全体の数字は減少したが、地域別に見ると訪日市場の動きには明確な差が出ている。
中国からの客数急減が全体を押し下げる構図
中国からの訪日客は31万3000人となり、前年同月比で60.4%減少した。前年を下回るのは6カ月連続で、日中関係の悪化に伴う中国政府の渡航自粛要請の影響が続いている。中国市場の落ち込みは大きく、5月の訪日客数全体を押し下げる主因となった。
観光庁の村田茂樹長官は、中国からの減少がある中でも全体の減少率が3.6%にとどまった点に触れた。そのうえで、その他の国・地域が好調であることの裏返しだとの認識を示した。中国市場の弱さと他地域の伸びが同時に表れた形だ。
韓国と台湾の伸びが訪日市場を支えた流れ
国・地域別で最も多かったのは韓国で、95万1300人だった。前年同月比では15.2%増となり、5月として過去最高を更新した。韓国からの来訪は全体の下支え役となり、中国の落ち込みを一部補う動きとなった。
台湾からの訪日客は61万6800人で、前年同月比14.6%増加した。台湾も5月として過去最高となり、東アジアの中でも中国とは異なる動きを示した。訪日市場は中国依存だけでなく、韓国や台湾などの堅調な需要によって支えられている。
中東からの来訪増も単月で過去最高水準に
中東からの訪日客は3万9000人となり、前年同月比67.8%増加した。単月として過去最高で、5月に大型連休があったことから、特にトルコからの来訪が増えた。中東情勢が悪化する中でも、足元の訪日客数への影響は一部にとどまった。
統計のある23カ国・地域のうち、19カ国・地域で5月として過去最高を更新した。これは中国からの大幅減とは対照的な動きであり、訪日需要の広がりを示している。地域ごとの動向を分けて見ることが、訪日市場の実態を把握するうえで重要になっている。
地域分散が今後の需要維持の焦点となる
5月の訪日客数は前年を下回ったが、減少の中心は中国市場に集中している。韓国、台湾、中東など複数地域で過去最高の水準が確認され、訪日需要は一部地域の不振を他地域の伸びが支える構図となった。全体の減少率が小幅にとどまった背景には、こうした地域分散がある。
今後は中国からの来訪減が続く中で、他地域の伸びを維持できるかが焦点となる。加えて、燃油サーチャージの上昇が航空運賃を押し上げる動きも出ている。訪日市場は高い需要を保ちながらも、中国要因と航空費用の上昇という課題に直面している。
