AI競争で巻き返し狙うアップル、新Siriと安全機能を発表

早瀬 涼真
经过

競合対抗を意識したSiri刷新

米IT大手アップルは6月8日、AIを活用して刷新した音声アシスタント「Siri AI」を発表した。新機能は利用者と自然に会話し、画面上の情報を読み取って回答するなど、従来より幅広い支援を行う設計となる。アップルはAI開発で出遅れたとの指摘を受けてきたため、今回の発表は競合他社への対抗姿勢を明確にする内容となった。発表は同社の年次イベントWWDCで行われ、ソフトウェアと端末の統合を重視する方向性が示された。

写真やメール検索を支えるAI基盤

Siri AIは、アップルのAI基盤「アップルインテリジェンス」の中核機能として位置付けられる。過去の写真を探す操作や、受信トレイ内にあるメールの検索を簡単にするなど、日常的な作業を支援する。利用者とアプリのやり取り、画像の内容、一般知識を組み合わせることで、会話型のアシスタントとしての性能を高める。米メディアによると、基盤技術には米グーグルのAI「ジェミニ」が活用されたという。

英語版から始まる提供計画

Siri AIの試用版は、今年後半に英語で提供される予定となっている。利用には対応端末が必要で、日本語など他言語への対応時期は明らかにされていない。欧州連合では規制上の対応が必要となるため、導入が遅れる見通しだ。アップルは、オープンAIやアンソロピックのAI支援アプリに近い新たなアプリも用意し、Siriを自社製品やアプリと連携させる形で機能を広げる。

子どもの利用環境を守る新機能

アップルは、子どもの安全を高めるための機能変更も発表した。保護者が子どもの会話相手を管理できる「アスク」機能を拡充し、知らない人物と会話する前に承認を求める仕組みを導入する。さらに、性的または暴力的な内容を含む可能性がある画像が子どもの端末に届いた場合、自動的に検閲する機能を備える。英国では同日、キア・スターマー首相が、アップルやグーグルなどに対し、18歳未満がヌード画像へアクセスできないよう求める考えを示した。

退任前のクック氏が残した発表

今回のWWDCは、ティム・クックCEOにとってCEOとして最後の登壇となった。クック氏は2011年にCEOを引き継ぎ、15年間にわたってアップルを率いた。会場では開発者や社員らが拍手で迎え、クック氏は開発者の取り組みと従業員の創意工夫に謝意を示した。後任に就くジョン・ターナス氏は基調講演には登場しなかったが、Siri AIに関する説明の場ではクック氏の隣に座った。AI強化と経営交代が重なった今回の発表は、アップルの次期体制に向けた重要な区切りとなった。

この記事をシェア