国旗損壊罪の国会提出へ、自民了承も表現自由巡り議論残る

井村 智規
经过

法案提出へ党内手続き前進

自民党は6月1日、国旗を傷つける行為を処罰する新たな罪の創設に向け、党内の合同会議で法案を了承した。対象となるのは、日本国旗を公の場で損壊、除去、汚損する行為である。法案は「国旗損壊罪」として整理され、正式名称では日本国国章損壊罪として扱われる。

会議では条文案が示され、大筋で承認された。今後の進め方は、プロジェクトチーム座長を務める松野博一元官房長官らに委ねられた。自民党は連立相手の日本維新の会と調整し、今国会への提出を目指す。

処罰対象の範囲を明記

法案は、国旗への行為が公然と行われた場合を処罰対象としている。条文案では、人に強い不快感や嫌悪感を生じさせる方法で国旗を損なう行為を想定している。罰則としては、2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金を定めている。

また、国旗を傷つける場面を撮影し、SNSなどを通じて不特定多数に示す行為も対象に含まれる。単に現場で行われた行為だけでなく、映像や画像として広く公開される場合も処罰される仕組みである。インターネット上での拡散を含めた制度設計となっている。

連立政権合意に記載された法案

この法案は、高市早苗首相が重視してきた案件とされる。自民党と日本維新の会の連立政権合意書にも記載され、与党として今国会での成立を目指す方針が示されている。自民党は、維新との協議を終えた後、国会提出に向けた手続きを進める。

ただし、国会での採決には他党の動向が影響する。参院では与党が過半数を維持していないため、賛成する野党をどこまで確保できるかが課題となる。法案審議では、与党内の調整だけでなく、野党側への働き掛けも重要になる。

党内外で慎重意見が継続

法案に対しては、表現の自由を制限するおそれがあるとして慎重な見解が出ている。国旗を損なう行為を刑罰の対象にすることで、政治的な意思表示との境界が問題になるとの指摘がある。与党は成立を目指しているが、議論は一枚岩ではない。

自民党内でも異論は残っている。岩屋毅前外相は会議を途中退席し、国旗が処罰によって尊重を強制される国家権力の象徴になるとの趣旨で批判した。党内会合で了承された後も、法案の意義や影響を巡る論点は残されている。

審議では制度の妥当性が焦点

今後の国会審議では、国旗を保護する必要性と表現活動への影響が主要な争点となる。法案は公然性や不快感を生じさせる方法を要件としているが、その解釈や適用範囲が問われることになる。刑事罰を導入する以上、処罰の対象をどこまで明確にできるかも重要である。

自民党は会期内成立を目標に掲げ、維新や他の野党との協議を進める。法案が国会に提出されれば、国旗の尊重と自由な表現の関係を巡る議論が本格化する。成立までの道筋は、各党の対応と審議内容に左右される。

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