防衛費目標は示さず自民提言案が装備変革を政府に要請

宇津木 柊
经过

防衛政策の見直しへ党調査会が方針整理

自民党安全保障調査会は5月25日、安全保障関連3文書の改定を見据え、政府に提出する提言案を了承した。対象となるのは国家安全保障戦略などの重要文書で、年内改定に向けた党側の考え方を示す内容となった。

日本周辺の安全保障情勢が変化していることを受け、提言案は防衛力を早期に実効性の高い体制へ移行させる必要性を示した。装備の更新にとどまらず、運用面の見直しや国内での生産基盤強化など、総合的な対応を求める内容となっている。

一方で、政治的な論点となる非核三原則の見直しや原子力潜水艦の導入、防衛費の数値目標は盛り込まなかった。党内外で意見が分かれる課題については、今回の提言案では踏み込まない構成となった。

5年以内の防衛力変革を提言案に明記

提言案の中心にあるのは、5年以内に防衛力の変革を成し遂げるべきだとの考え方である。現代の軍事技術や戦闘様式は急速に変化しており、既存の体制を維持するだけでは十分な抑止力や対処力を確保できないとの認識が示された。

特に、長期にわたる事態へ備える継戦能力が重要課題として位置づけられた。提言案は、少なくとも年単位で防衛を継続できる能力を確保する必要があるとした。これは弾薬や装備品だけでなく、補給、整備、生産体制を含む総合的な能力を指す。

また、こうした変革には裏付けとなる予算が必要だとした。防衛力整備を進めるため、政府が主体的に判断し、必要な財源を確保することを求めた。

無人機活用と生産体制強化が焦点に

提言案では、無人機の導入拡大が重要な項目として扱われた。無人機は警戒監視や情報収集、作戦支援などで活用が広がっており、今後の防衛体制に欠かせない装備と位置づけられている。

同時に、国内で量産できる基盤づくりも求められた。海外製装備に大きく依存すると、国際情勢の悪化や供給網の混乱によって必要な装備を確保できない事態が生じる。提言案は、国内産業の整備を防衛力強化の一部として扱った。

この方向性は、継戦能力の確保ともつながる。装備を保有するだけでなく、必要な時期に必要な数量を確保できる体制がなければ、長期的な対応力は高まらないためである。

防衛費増額の割合は提言に盛り込まず

防衛費については、韓国やNATO加盟国、オーストラリアの動向が例示された。NATO加盟国などはGDP比3.5%を掲げ、オーストラリアは3%を目標としている。こうした他国の取り組みを踏まえながらも、日本の新たな数値目標は示されなかった。

現在、日本は防衛費をGDP比2%とする方針を進めているが、今回の提言案ではその先の具体的な比率には踏み込まなかった。防衛力の強化を求める一方、財源をどう確保するかという議論が残っているためである。

自民党側は、財源問題と防衛力強化の必要性の間で難しい判断があったと説明した。提言案は、数値ありきではなく、必要な能力を整備するための予算確保を政府に求める形となった。

核抑止と潜水艦を巡る表現は限定的

非核三原則については、提言案で直接の記載を避けた。特に「持ち込ませず」の扱いを巡っては、米国の核抑止力との関係が議論されているが、今回の文書では見直しの方向性を明示しなかった。

提言案では、米国が提供する核抑止を中心とする拡大抑止の信頼性を一層確保すると表現した。核政策そのものの変更には触れず、日米同盟を通じた抑止力の維持を重視する内容にとどめた。

また、潜水艦については、長射程ミサイルを運用する次世代動力の艦艇を検討するとした。原子力潜水艦とは明記されなかったが、動力として原子力を排除しているわけではないとの説明も示された。詳細な検討は政府側で行われる見通しであり、自民党は6月上旬にも提言案を提出する方針である。

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