G7が重要鉱物とAI対策を共同声明で明記し供給網強化へ

長峰 詩花
经过

共同声明で経済安保を重視

パリで開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議は5月19日、共同声明を採択して終了した。声明は、先端AIの悪用リスク、重要鉱物の安定調達、中東情勢による経済不安を主要な課題として扱った。金融当局と財務当局が、経済安全保障の観点から複数のリスクに対応する姿勢を示した形だ。

会議には日本から片山さつき財務相と植田和男日銀総裁が参加した。議長国はフランスが務め、レスキュール経済・財務相が会議後に記者会見を行った。声明では、世界経済を取り巻く不確実性が成長と物価に影響を及ぼしているとの見方が共有された。

重要鉱物の依存低減を促進

共同声明は、レアアースを含む重要鉱物を経済安全保障に不可欠な資源と位置付けた。こうした鉱物は、半導体、電池、再生可能エネルギー関連技術などに関わる基盤資源である。G7は、特定国に偏らない供給網を構築する必要性を確認した。

声明では、中国を念頭に、輸出規制が国際的なサプライチェーンを不安定にしているとの懸念も示された。G7は、民間投資の拡大、再利用の推進、調達基準の導入を通じて、供給網の強靱化を目指すとした。同志国との協力も重視し、調達先の分散を進める方針を掲げた。

先端AIの脅威に情報共有

先端AIを使ったサイバー攻撃への対策も、声明の柱となった。G7は、最先端のAIモデルを巡る最近の動向を踏まえ、必要に応じて情報共有を強化するとした。専門家グループが協力し、リスクの把握と対策の検討を進める。

背景には、米アンソロピックによる「クロード・ミュトス」の開発がある。このモデルは、システム上の脆弱性を見つける能力が高いとされる。G7は、AIの高度化がサイバー防御の課題を拡大させる中、6月の首脳会議に向けて対応策の具体化を進める。

中東情勢が物価と貿易を圧迫

声明では、中東紛争の継続が世界経済の不透明感を強めているとした。特に、成長とインフレのリスクを高めている点に懸念を示した。エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の航行確保も、重要な論点として取り上げられた。

レスキュール氏は会議後、ホルムズ海峡の航行再開を求め、貿易の流れを正常化することが最優先だと強調した。片山氏も、中東に原油やLNGを依存するアジア地域への影響を注視していると述べた。エネルギー価格の上昇は、各国のインフレ懸念を強める要因となっている。

金融安定へ国際対話を継続

中東情勢の緊迫化により、日米欧では長期金利が急上昇している。エネルギー価格の高騰は物価上昇圧力につながり、金融政策の運営にも影響を与える。声明では、中央銀行が物価安定の維持に強く取り組む姿勢が改めて示された。

G7は、AI、資源、エネルギー、金融市場という複数の課題を一体的に捉えた。レスキュール氏は、今回の危機が分断された国際環境において対話を続ける必要性を示したと述べた。共同声明は、経済の安定を保つため、各国が連携してリスク対応を進める方向を明確にした。

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