ゲームストップがイーベイ買収案を提示、9兆円規模の大型再編へ

宇津木 柊
经过

ミーム株企業が大型買収に踏み出す

米ゲーム販売大手ゲームストップが、電子商取引大手イーベイに対し、総額約555億〜560億ドル規模の買収を提案した。日本円では約8兆7000億〜8兆7900億円に相当する大型案件で、米小売業界とEC市場の双方に影響を及ぼす可能性がある。ゲームストップは2021年に個人投資家の買い注文が集中し、株価が急騰したことで「ミーム株」として広く知られるようになった企業である。

今回の提案は、ゲーム販売を主軸としてきた同社が、より大きなEC事業者の完全子会社化を目指す異例の動きとして注目されている。報道によると、ゲームストップの時価総額はイーベイの約4分の1にとどまる。規模で大きく上回る相手への買収提案である点が、市場関係者の関心を集めている。

1株125ドルで取得する案を提示

ゲームストップが示した買収案は、現金と株式を組み合わせ、イーベイ株を1株125ドルで取得する内容である。この価格は、5月1日のイーベイ株終値に対して約20%の上乗せとなる水準だ。買収総額は情報により約555億ドルまたは約560億ドルとされ、いずれも9兆円近い規模となる。

ゲームストップはすでにイーベイ株の約5%を保有している。今回の提案は、既存保有分を足掛かりに、イーベイを完全子会社化する狙いを示したものと位置付けられる。EC大手を取り込むことで、ゲーム販売中心の事業構造から大きく転換する可能性がある。

TDバンクから資金調達の約束

買収資金について、ゲームストップはTDバンクから約200億ドルの債務資金調達のコミットメントを得たと明らかにしている。巨額の買収には資金面での裏付けが不可欠であり、同社はその一部を銀行借り入れで賄う考えを示した。残りは現金と株式を組み合わせる形になる。

投資家向けの書簡では、買収完了後12カ月以内に年間約20億ドルのコスト削減を実現すると説明した。統合による効率化を打ち出すことで、買収の経済的な合理性を示そうとしている。ゲームストップは、EC事業との組み合わせにより、事業基盤の拡大を図る姿勢を明確にした。

イーベイは慎重に検討と表明

イーベイは5月4日、ゲームストップからの買収提案について、慎重に検討するとの声明を出した。一方で、事前協議は行われていなかったと説明している。提案への賛否についてはコメントを控え、現時点で明確な判断を示していない。

この対応は、提案内容の規模や条件を精査する必要があることを示している。イーベイはEC大手として高い知名度を持ち、ゲームストップよりも大きな企業規模を有する。自社より小規模な企業からの買収案を受けた形であり、今後の取締役会や株主の判断が焦点となる。

株主への直接提案も視野に入る

ゲームストップを率いるライアン・コーエンCEOは、必要であれば委任状争奪戦に備え、株主へ直接提案を持ち込む用意があると述べていた。イーベイ側との協議が進まない場合、株主の支持を得る手法を検討する構えを示している。これは、買収実現に向けた姿勢の強さを示す発言といえる。

ただ、市場関係者の一部は、この買収案の実現性に懐疑的な見方を示している。背景には、ゲームストップの企業規模がイーベイを大きく下回る点や、買収総額が極めて大きい点がある。イーベイが提案をどのように評価するかが、今後の展開を左右する。

この記事をシェア