海上燃料供給の実証公開 LNG船普及へ新段階

長峰 詩花
经过

海上燃料供給の実証公開進展

大阪ガスは4月21日、広島県福山市において、液化天然ガス(LNG)を船舶に海上で供給する様子を報道関係者に公開した。これまで主流だった陸上設備からの補給とは異なり、洋上で燃料を移送する新たな方式の実用化を示した取り組みである。
今回の実証では、鉄鋼原料を運搬する大型船に対し、供給船を横付けして燃料を渡す手法が用いられた。船同士をホースで接続する「Ship to Ship」方式により、港湾設備に依存しない燃料供給の可能性が示された。

大型輸送船への供給作業を実施

対象となった輸送船は全長約300メートル、積載能力21万トン級の大型船で、鉄鋼原料を輸送する役割を担う。供給された燃料は、オーストラリアと福山間の航行に必要な分とされた。
燃料供給を担ったのは、大阪ガスのLNGバンカリング船「セト アズール」である。この船は最大約3610立方メートルのLNGを搭載できる仕様を持ち、国内におけるLNG供給船としては3隻目の存在となる。

洋上方式導入で運航効率向上

従来は港湾内の拠点やタンクローリーを利用した補給が一般的だったが、こうした方法では供給量や場所に制約があった。特に大型船への燃料補給には対応が難しいケースもあった。
洋上での補給が可能となったことで、船舶は燃料のために特定の施設へ寄港する必要がなくなる。さらに貨物の積み下ろし作業と同時進行で燃料補給が行えるため、停泊時間の短縮や運航効率の向上が期待されている。

LNG燃料拡大と供給体制整備

LNGは従来の重油と比べて二酸化炭素(CO2)の排出量が少ないとされ、脱炭素化の流れの中で利用拡大が進んでいる。国内でもLNG燃料船の増加が見込まれており、それに対応した供給体制の整備が課題となっている。
大阪ガスは大阪湾沿岸や瀬戸内海周辺に拠点を持ち、これらの地域を中心に供給事業の拡大を進める方針を示している。将来的には海上供給量を段階的に増やし、運用範囲を広げていく構えである。

将来見据えた燃料転換計画

同社は今後、LNGの供給体制を拡充するだけでなく、新たな燃料への転換にも取り組む計画を示している。その一つが、水素とCO2を原料として製造される合成メタン「eメタン」である。
2030年には年間7万トン規模の海上供給を目標としており、燃料の種類や供給方法の多様化が進む見通しとなっている。こうした取り組みは、海運分野の低炭素化を支える基盤整備として位置付けられている。

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