世界市場で広がる日本食の存在感
2025年の農林水産物・食品の輸出額は1兆7005億円となり、過去最高を更新した。健康志向の高まりと日本食ブームが世界的に続き、輸出額は前年比12.8%増となった。訪日客の増加を通じた体験型の認知拡大も、海外需要の底上げにつながった。ただ、政府が設定していた2兆円の目標には届かず、成長の質が問われる結果となった。
輸出先上位国に見る需要の広がり
輸出先別では米国が首位を維持し、台湾、香港などが続いた。米国向けは緑茶や水産物への評価が定着し、関税強化後も需要は堅調だった。上位10か国・地域のうち多くで過去最高を更新しており、日本食品が幅広い地域で受け入れられていることが示された。
中国市場の動向と水産物問題
中国向け輸出は前年比で増加に転じたが、水産物の事実上の輸入停止が継続している影響は大きい。全体額は回復途上にあり、かつての水準には及ばない。ビールや木材など水産物以外の分野が伸びたことで増加となったが、品目構成の偏りが課題として残っている。
品目別成長が示す消費動向
品目別では緑茶が最大の伸びを示し、輸出額は前年の約2倍となった。抹茶を中心とした需要増が背景にある。ブリはすし人気を追い風に輸出額を伸ばし、牛肉やコメなど主要品目も過去最高を記録した。コメは単価上昇が金額増につながった一方、数量の伸びは限定的だった。
輸出拡大政策の次なる焦点
農林水産省は2030年に輸出額5兆円を目指している。今後は輸出先のさらなる開拓と、生産力の底上げが重要となる。金額の拡大だけでなく、安定供給と市場多角化をどう進めるかが、次の成長戦略の鍵を握る。
