経済危機が拡大させた抗議と揺らぐイラン統治体制

井村 智規
经过

全国に拡散した抗議活動の現状

2025年12月28日以降、イラン各地で経済状況の悪化に抗議する動きが相次いでいる。抗議は首都テヘランを起点に地方都市へと広がり、全31州のうち27州で確認された。市場関係者や学生を含む幅広い層が参加し、社会全体に不満が浸透している状況が浮き彫りとなっている。

死者と拘束者が示す深刻な人権状況

国外に拠点を置く人権団体は、過去10日間で少なくとも36人が死亡したと報告している。このうち大半は抗議参加者で、治安部隊側の死者も含まれる。さらに60人以上が負傷し、2076人が拘束されたとされ、強硬な治安対応が続いている実態が明らかになった。

通貨急落と制裁が生んだ社会不安

抗議の背景には、通貨リアルの急激な下落と40%に達したインフレ率がある。核開発をめぐる国際制裁に加え、長年指摘されてきた統治の不透明性や汚職が経済を圧迫し、生活不安が限界に達したことが抗議拡大の要因となった。

当局の強硬姿勢と国際的反応

イラン当局は抗議の一部を暴力的行為と位置づけ、治安部隊による鎮圧を正当化している。一方、国連は死傷者の増加に深い懸念を示し、平和的な抗議の権利を尊重するよう求めた。国際社会の視線が厳しさを増す中、当局の対応が問われている。

政権の求心力低下が突き付ける課題

抗議の長期化は、統治体制の安定性に影響を与えている。経済改革や社会不安への対応が進まなければ、国民の不満はさらに拡大する可能性がある。現状は、イラン指導部にとって重大な転換点となっている。

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