中国軍演習で台湾発着857便に影響 当局が国際規範違反と批判

早瀬 涼真
经过

台湾当局が航空影響を公表し調整を急ぐ姿勢

台湾の交通部民用航空局は2025年12月29日、中国当局が30日に「ロケット発射演習」を行うとして飛行禁止エリアを設定したことにより、台湾を発着する国際線など計857便に影響が出ると発表した。対象便の乗客は10万人超に上るとし、運航計画の変更が避けられないとの見通しを示した。影響は国際線に限らず、乗り継ぎや到着時刻の変更が連鎖する可能性があるとして、航空各社や空港での調整が急がれている。民用航空局は、代替経路の検討や運航情報の周知を進める方針を示した。乗客10万人超の移動計画に直結するため、航空各社には個別の案内体制が求められている。

進入禁止7区域が航路を制限し運航に波及拡大

民用航空局によると、中国側は30日8時(日本時間9時)から18時(同19時)まで、台湾周辺で7カ所の進入禁止エリアを設定した。台湾の国際航路は東北方向で日本と往復するルートを除き、ほぼ全て利用できなくなると指摘した。これにより、通常は台湾上空や周辺空域を通過する便も迂回が必要となり、運航時間の延長や燃料計画の見直しが生じる。代替航路の設定などで対応するものの、フライトの取り消しや遅延が発生する可能性があるとしている。短時間での航路再編は管制や空港運用にも影響し、利用者への影響把握が続いている。

ICAO基準の通知不足を挙げ国際慣例違反

民用航空局は、軍事演習で航路に影響が出る場合は遅くとも7日前の通知を国際民間航空機関(ICAO)が規定していると説明した。その上で、中国側が「わずか1日前」に通告した点を問題視し、国際規範と航行の慣例に対する重大な違反だと非難した。台湾側は、直前の通告では安全確保と運航調整の余地が限られ、予告された空域制限の範囲も広いと指摘した。国際線の運航は周辺国の空域とも接続しており、台湾当局は関係各所への説明と連絡を続けている。

正義使命演習とロケット軍参加で空域が緊迫

中国軍の東部戦区は29日、台湾を包囲する軍事演習「正義使命―2025」の開始を公表した。陸海空軍に加えてロケット軍が参加し、重要港湾や特定区域の封鎖を想定した訓練を行うとしている。東部戦区の報道官は「台湾独立」勢力と外部干渉勢力への警告だと位置付けた。東部戦区は29日に台湾北側や南西側の海空域で実弾射撃を行い、東側では制空権獲得を想定した訓練を実施したとしている。中国海警局も同日、台湾周辺で海警船による取り締まりを名目とする巡視の開始を発表し、海上での活動も重なった。

台湾国防部が確認数を示し警戒態勢を継続強化

台湾国防部は29日夕の記者会見で、中国側が台湾海峡での衝突リスクを高めようとしていると批判した。国防部によると、29日朝から午後までに中国の軍用機や無人機延べ89機、艦艇14隻、海警船14隻を確認した。さらに、強襲揚陸艦など4隻が台湾東方の西太平洋に展開したという。台湾当局は、軍事面の動きと空域制限の双方が同時に進む状況を踏まえ、関係機関で監視情報の共有を進めている。航空分野では影響の更新が続くとして、利用者に最新情報の確認を呼び掛けている。

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