設備費請求を巡る裁判の背景
LPガスの供給契約を巡り、解約時の設備費請求が適法かどうかが複数の裁判で争われてきた。対象となったのは、戸建て住宅を購入した利用者が供給契約を解約したケースである。判断は高裁段階で分かれており、最終的な結論が注目されていた。
ガス会社側の主張内容
ガス会社は、配管工事などの初期費用を無償で負担している点を強調した。そのため、一定期間内に解約された場合は、未回収分として設置費用の一部を求めるのは合理的だと主張していた。契約条項は合意に基づくものだと位置付けていた。
契約条項の法的性質を巡る整理
最高裁は、この条項を形式ではなく実質から評価した。条項の目的は契約の長期継続を確保する点にあり、解約に伴う違約金と同視できると整理した。その上で、消費者契約法が定める無効要件に該当するかを検討した。
解約による損害発生の有無を判断
判決では、ガス料金が設備費の回収を含めて設定されている点が重要視された。解約が発生しても、事業者全体として損害が生じているとは言えないとされた。このため、平均的な損害を超える請求に当たるとして条項は無効と結論付けられた。
今後の契約実務への示唆
今回の判断は、設備費と料金を一体で回収する契約形態に警鐘を鳴らす内容となった。一方で、設備費を明確に分けて請求する場合には別の扱いとなる余地も示された。契約内容の透明性が、今後一層求められることになる。
