AI検索巡る記事利用問題で公取委が実態調査開始

早瀬 涼真
经过

AI検索と記事利用の実態把握に着手

公正取引委員会は2025年12月23日、生成AIを用いた検索サービスに関する調査を開始する方針を示した。検索結果として表示される回答文に、報道機関の記事内容が無許可で含まれている可能性があるためである。AIが自然文で要約する仕組みが、従来の検索表示とは異なる影響を及ぼしている点が注目されている。

調査対象となる国内外の主要IT企業

調査の対象には、AI検索を提供するLINEヤフーのほか、米グーグル、マイクロソフトが含まれるとされている。さらに、対話型AI「ChatGPT」を展開する米オープンAIや、検索型生成AIを手がける米新興企業パープレキシティも視野に入っている。国内外の幅広い事業者が対象となる点が特徴である。

独禁法が焦点となる優越的地位の問題

公取委は、記事の無断使用が独占禁止法で禁止される「優越的地位の乱用」に当たる可能性があるとみている。検索サービス事業者が情報流通で強い立場にある場合、報道機関に不利な形でコンテンツを利用していないかが論点となる。調査は処分を前提とせず、まず現状把握を目的としている。

報道機関側の訴訟と抗議の動き

AI検索を巡っては、国内の報道機関がパープレキシティに対し、著作権侵害を理由に提訴や抗議を行ってきた。利用者の質問に対し、AIが記事内容を基に自然な文章で回答する仕組みが、許諾を得ない利用につながっているとの懸念が強まっている。

ニュース配信契約問題との連続性

公取委は2023年、大手IT企業によるニュース配信契約を巡る報告書を公表している。一方的な契約変更により、記事の対価が著しく低く抑えられる行為は独禁法違反に当たると警告してきた。今回の調査は、こうした過去の問題意識を踏まえた延長線上に位置付けられる。

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