2030年火災ゼロへ政府が示す電池対策の全体像

早瀬 涼真
经过

リチウム電池火災問題の現状整理

モバイルバッテリーやスマートフォンに使用されるリチウムイオン電池を巡り、廃棄過程や持ち込み時の不適切な扱いが原因となる火災が各地で発生している。ごみ処理施設や公共交通機関での事故は社会的影響が大きく、対策の強化が課題となっていた。政府はこうした状況を受け、包括的な対応方針をまとめた。安全確保と資源循環の両立が重要な柱とされている。

不適切製品と事業者への対応強化

総合対策では、安全性に問題があると判断される製品の流通抑制を明確に打ち出した。疑義のある製品を販売し、連絡が取れない事業者については名称を公表する仕組みを導入する。市場からの排除を通じ、消費者被害や事故発生の抑制を図る狙いがある。流通段階での透明性確保が重視されている。

廃棄物処理とヤード規制の見直し

火災が発生しやすい廃棄物処理施設では、火災検知機の設置を進める方針が示された。あわせて、スクラップ置き場として利用されるヤードに対する管理規制を強化し、不適切な保管に対しては罰則を設ける。保管環境の改善を通じ、事故の未然防止を徹底する。

指定再資源化製品への追加方針

資源の有効活用に向け、2026年4月からモバイルバッテリーなど3品目が指定再資源化製品に加えられる。これにより、製造業者などにはリサイクルの実施が義務付けられる。電池に含まれる希少資源の回収を進め、循環型利用の基盤を整える狙いがある。

社会全体での事故防止体制構築

政府は、対策の実行には国民や事業者の協力が不可欠だとしている。回収時の混入防止や安全な処理方法の周知を進め、事故防止を社会全体で支える体制を構築する。2030年の火災ゼロ達成に向け、段階的な取り組みが求められる。

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