ゆうちょPay終了決定 利用低迷が示す決済競争の現実

早瀬 涼真
经过

スマホ決済事業の見直しが判明

ゆうちょ銀行は、QRコードを用いたスマートフォン決済サービス「ゆうちょPay」を2026年12月20日で終了すると明らかにした。同行が公式に終了時期を示したのは今回が初めてで、国内のキャッシュレス分野における撤退事例として注目を集めている。決済機能の停止後、関連機能の扱いについては改めて説明するとしている。

期待された顧客基盤の活用

「ゆうちょPay」は2019年に提供を開始した。全国に張り巡らされた郵便局網と、約1億2000万に及ぶ口座数を背景に、銀行口座直結型決済として普及が期待されていた。現金志向が強い層への浸透も視野に入れた戦略だったが、想定した利用拡大には至らなかった。

登録件数と当初計画の乖離

同行によると、2025年11月末時点の登録件数は約169万5000にとどまった。当初掲げていた1000万件という目標には遠く及ばず、競合サービスとの差は広がる一方だった。登録者数の伸び悩みが、事業継続の判断に直接影響した形となる。

銀行決済の特色発揮が困難に

終了理由について、ゆうちょ銀行は「決済サービスが多様化する中で、銀行が提供する決済としての独自性を生かしにくくなった」と説明している。スマホ決済市場では、利便性や加盟店網、利用者規模が競争力を左右しており、後発組にとっては厳しい環境が続いていた。

相次ぐ撤退が示す業界の変化

スマホ決済分野では、2025年4月にLINE Payが終了し、UNIQLO Payも2026年1月での提供終了を決めている。ゆうちょPayの撤退は、こうした流れと軌を一にする動きであり、国内決済市場が淘汰と集約の段階に入ったことを示している。

この記事をシェア