市が示した支援策の全体像
和歌山市は政府の物価高騰対策の枠組みを活用し、市内に住む全ての住民へ6,000円分の地域商品券を届ける方針を示した。対象者は市民全員であり、世帯規模に応じて世帯主にまとめて発送される。申し込みの手続きは不要とされ、市民への負担を抑えた運用とした。発送は2026年3月を予定しており、利用者が確実に受け取れる形で進めると説明している。
使用可能範囲を広げる方針
市が今回採用したのは、特定の食品に限られたクーポンではなく、市内の事業者で幅広く利用できる地域商品券である。登録店舗は小売業のほか飲食、交通など多様な分野が想定されている。利用店舗の詳細は準備が整い次第、市の公式サイトなどで明示する予定であり、市は市内経済の循環を促す効果にも言及している。住民が生活必需品からサービスまで柔軟に選択できる点が特徴となる。
政府制度との違いが示す狙い
政府が今年度補正予算案に掲げた物価高対策では「おこめ券」が例として挙げられたが、和歌山市は用途の選択肢を確保することを重視し別の形式を選んだ。市によれば、利用範囲の広さと事務経費の抑制、市内事業者への経済効果を比較し、地域商品券がより適していると判断したという。市長は会見で、多様な支出に充てられる点を評価し、市民生活の実情に即した支援策であると説明した。
財源確保と事業規模の詳細
今回の施策に必要な費用は、国の臨時交付金23億3,700万円が中心となり、市としても一般財源5,500万円を追加する。市は12月議会に関連する補正予算案を提出し、制度実施に向けて財源措置を進めている。事業費の規模は相応に大きく、物価上昇が続く中で生活負担を緩和する狙いが明確に示されている。市は円滑な発行手続きの確保と事務費の最適化に努めるとしている。
地域経済と暮らしに及ぶ影響
地域商品券の導入は、住民支援と同時に市内経済への波及が期待される。消費の動きが広い分野に向かうことで、事業者の売り上げ向上につながる可能性がある。また、市民は利用期限内に必要な支出を調整でき、生活防衛の一助となる。市は今後、利用可能店舗を周知し、支援策としての効果を確保する方針を示している。
