オープンAIが宇宙進出検討 ロケット企業買収交渉の実態

宇津木 柊
经过

技術拡大を見据えた計画が浮上

米オープンAIのトップであるサム・アルトマンCEOが、ロケット開発企業との提携や買収を視野に資金調達を検討していた事実が明らかになった。米紙報道によれば、この構想は2025年夏以降に具体的な動きを見せ、宇宙技術を活用した新たな事業基盤を模索する取り組みの一環と位置付けられていた。生成AIの需要拡大に伴い、処理能力と電力供給の確保が課題となる中、技術インフラの長期的な方向性を見極める狙いがあった。

ロケット企業との接触進む

関係者の情報では、アルトマン氏は少なくとも米ストーク・スペースに接触し、夏から秋にかけて協議が段階的に進行したとされる。交渉が成立した場合、数十億ドル規模の投資になる可能性が指摘されていた。ロケット技術を持つ企業との連携は、地球外環境でのデータ処理基盤づくりに向けた前提条件ともなり得るため、オープンAIの事業にとって重要性を帯びていた。

スペースXとの競争軸

報道では、この検討がイーロン・マスク氏率いるスペースXとの競争をにらんだ動きとの見方も示されている。宇宙輸送能力を持つ民間企業が存在感を増す中、ロケット技術を押さえることはAI企業にとっても将来的な事業の幅を広げる要素となり得る。宇宙とAIを結びつけた産業モデルの形成は、企業間競争に新たな局面をもたらす可能性がある。

宇宙データセンター構想の背景

オープンAIが開発する生成AI「チャットGPT」をはじめとする巨大モデルは、膨大な計算処理と電力を必要とする。アルトマン氏は環境負荷の抑制に関心を示し、宇宙空間にデータセンターを設ける構想を検討しているとされる。宇宙での発電や冷却能力の優位性に着目したもので、長期的なインフラ形成を見据えた発想として注目される。

現段階で交渉は停止

一方で、秋以降に進んでいた交渉は現在停止していると報じられている。関心を示した企業との取引が実際に再開するかは不透明で、今後の動向が注視される。AI需要が急増する中、技術基盤の確保をめぐる戦略は依然として各企業の重要課題であり、宇宙を巡る産業競争の行方が焦点となる。

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