住宅ローン減税延長と中古支援強化が示す政策方針

長峰 詩花
经过

減税制度延長を巡る調整状況

政府・与党は、2025年末で適用期間が終わる住宅ローン減税について、5年間の延長を軸に協議を進めている。住宅取得にかかる負担を和らげる制度として定着してきたことが背景にあり、延長の是非は年末の税制議論における主要テーマとなっている。今回の延長方針は、価格上昇が続く住宅市場の状況を踏まえた対応として位置づけられている。

中古住宅での優遇措置拡大が焦点

中古住宅の需要が増えているなか、現行制度では新築よりも借入限度額が低く設定されている点が課題とされてきた。現在の上限は2,000万〜3,000万円だが、住宅価格の上昇により購入負担は増しており、制度の実効性を高めるため限度額の引き上げが検討されている。中古市場を支えるための税制上の後押しが政策論点として浮上している。

新築と中古で異なる適用枠の見直し

新築住宅では、省エネ性能などに応じて3,000万〜5,000万円が控除対象となり、最長13年間の控除が認められている。一方で中古住宅は適用期間が最長10年と短い。市場環境の変化を踏まえ、中古住宅購入者に対する支援を強めることで、住宅選択の幅を広げる狙いがある。政府内では、家庭状況に応じた優遇措置の再整理も検討項目となっている。

面積基準縮小による利用拡大案

制度利用の対象となる住居面積について、現行の50㎡を40㎡程度へ引き下げる案も議論されている。単身世帯や2人世帯が増える近年の居住形態の変化を踏まえ、より多くの購入者が制度を使えるようにする意図がある。面積基準見直しは都市部の小規模住宅の取得を後押しする効果も期待されている。

税制改正大綱に向けた今後の手続き

具体的な制度改定内容は、与党が年内にまとめる予定の税制改正大綱に反映される見通しである。住宅市場の動向を踏まえながら、ローン減税の延長と中古住宅支援の強化がどのような形で制度化されるかが焦点となる。関連部門では、負担軽減と市場の安定に資する制度設計を進めることが求められる。

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