提案否決の経緯が判明
中央アジアのウズベキスタンで開かれたワシントン条約締約国会議の委員会は、ウナギ属の全種類を国際取引規制の対象とする案を審議し、反対多数で否決した。絶滅の危険がある野生生物を保護する観点から提出されたこの案は、付属書の対象を拡大する内容で注目されていたが、採決では賛成が35、反対が100、棄権が8となり、必要とされる3分の2以上の賛成を得られなかった。143か国が無記名方式で投票に参加し、各国の判断が明確に分かれる結果となった。
日本が反対を明確にした背景
日本は今回の規制強化案について、科学的な裏付けが不十分である点を強調し、委員会の場で反対の立場を明確に示した。水産行政を担う当局は、現行のデータが提案内容と整合していないと指摘し、慎重な対応を求めた。日本国内で流通するウナギの大部分は海外からの輸入に依存しているため、規制が導入されれば手続き面の負担が増え、輸入の停滞につながる可能性があるとする懸念が示されていた。こうした点を踏まえ、日本側は管理体制の継続と的確な資源評価を優先すべきだと訴えた。
国際社会の投票行動が示す構図
今回の採決では、EUが資源量の減少を理由に規制の必要性を主張し、支持を呼び掛けた。これに対し、アジアやアフリカ諸国の多くは日本の意見に理解を示し、反対票を投じる姿勢を見せた。特にアフリカ地域の団結した動きが投票結果を大きく左右したとされる。採決前の議論では、資源評価の方法や取引量の把握をめぐり各国の主張がぶつかり、科学的根拠の扱いを巡って意見の隔たりが表面化した。
日本政府の外交的働き掛けが発表
日本は会議に向けて関係国との調整を進め、各国代表への説明を重ねてきた。農林水産省は、会議直前まで各国大使館を訪問したほか、開催地でも多数の国と直接対話を行い、日本の立場への理解を広げたと説明した。また、今年8月に横浜で開催されたアフリカ開発会議(TICAD)がアフリカ諸国との協力関係の強化につながったとの見方も示された。これらの活動が反対票の獲得に寄与し、規制案が否決される一因となったとされる。
本会議への影響と今後の見通し
委員会で否決された案は、12月5日の本会議で最終決定が行われる。委員会で示された投票の傾向が本会議でも維持されることが多いことから、現段階では否決が続く可能性が高いとされている。日本は、今回の結果がウナギの安定的な供給にとって重要な意味を持つと位置付け、資源管理と持続的な取引を両立する取り組みを継続する姿勢を示している。国内では、規制強化による価格上昇や流通停滞の懸念が和らぎ、関係業界では一定の安心感が広がっている。
