成長を軸に「増税なき税収増」掲げた政策提案
国民民主党は11月12日、政府に対して新たな経済対策案を提示した。中心に据えたのは「増税なき税収増」を実現し、2035年に名目GDPを1,000兆円へと引き上げる長期的な成長戦略である。玉木雄一郎代表は高市早苗首相と首相官邸で面会し、提案書を手渡した。会談後、玉木氏は「首相は真摯に話を聞いてくれた」と語った。党内では、成長を通じた税収増を重視する姿勢を一層明確にしている。
所得制限緩和と消費税減税を柱に
経済対策では、労働市場活性化を目的に「年収の壁」の見直しを盛り込んだ。具体的には、所得税が発生する基準を178万円まで引き上げ、可処分所得の増加を図る。また、物価高の影響を軽減するため、消費税を一律5%に引き下げる暫定措置を導入するよう求めている。これにより、消費喚起と企業活動の安定化を同時に進める狙いがある。
財政健全化目標の柔軟化を提唱
財政運営に関しては、政府が掲げるプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化目標について、国民民主は「単年度での達成を追うべきではない」との立場を示した。玉木代表は、数年単位での達成評価に移行すべきだと主張しており、高市首相の認識とも一致している。景気循環に合わせた柔軟な財政運営を重視する姿勢がうかがえる。
エネルギー負担軽減と安全保障強化も明記
家計負担軽減策として、再生可能エネルギーの普及に伴って電気料金に上乗せされている再エネ賦課金の徴収停止を求めた。また、外国人による土地取引への規制強化、免税制度の見直しや出国税拡大など、外国人政策の見直しにも踏み込んでいる。さらに、国家機密保護を目的としたスパイ防止法の制定にも言及した。
高市政権への影響と今後の焦点
国民民主の提言は、経済対策を検討中の高市政権にとって有力な参考材料となる可能性がある。高市首相は成長戦略会議などで民間投資促進策を進めており、国民民主の政策と方向性が重なる部分も多い。今後、与野党間で政策協調が進むかどうかが注目される。
