万博で関西のタッチ決済急増 利用者8割増と分析

長峰 詩花
经过

万博がキャッシュレス化促進の契機に

2025年10月に閉幕した大阪・関西万博の開催期間中、関西エリアでの鉄道タッチ決済利用者数が大幅に増加した。三井住友カードによる分析では、万博前の3月に1日平均約7万3千人だった利用者が、9月には約13万1千人に達したことが確認された。会期中の増加率は約8割で、国内外の利用者ともに伸びを示した。

「ステラトランジット」の普及が背景

同社の公共交通向け決済基盤「stera transit(ステラトランジット)」は、2020年に京都丹後鉄道で導入されて以来、2024年10月には阪急電鉄、阪神電気鉄道、近畿日本鉄道、大阪メトロに拡大した。導入範囲の拡大とともに、2025年9月の月間利用者数は前年同月比で15倍以上に増え、関西におけるキャッシュレス利用が定着しつつある。

万博閉幕後も続く利用増加傾向

三井住友カードは、万博閉幕後も利用者数の増加傾向が続いていると指摘する。同社石塚雅敏Transit本部長は、「万博が完全キャッシュレスを推進したことで認知度が高まり、夢洲駅のような定期券外区間でもタッチ決済を利用する層が広がった」と説明した。これにより、交通インフラ全体で利便性向上が進んだとみられる。

訪日客の行動から見える地域間交流

同社のデータによると、夢洲駅を利用した訪日客の移動パターンでは、大阪のほかに兵庫や奈良、京都など関西圏の各地を巡る傾向がみられた。さらに、香川・直島や和歌山・高野山といった文化・観光地にも足を延ばす旅行者が多かった。米国人が最多で、次にサウジアラビア、タイが続いた。

万博後の地域経済とデジタル化への影響

キャッシュレス化の進展は、観光振興や交通分野のデジタル化にも影響を与えている。万博を機に導入が拡大したタッチ決済は、訪日観光客の利便性を高めるだけでなく、地域経済の活性化や国際的な決済インフラ整備にも寄与した。今後も関西を中心にデジタル決済の拡大が続く見通しだ。

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