過去最高益を達成
ダイキン工業は2025年9月中間連結決算で、純利益が前年同期比6.1%増の1609億円と過去最高を記録した。国内外で業務用大型エアコンとデータセンター向け冷却システムの需要が堅調だったことが背景にある。売上高は2兆4787億円で0.6%減となったが、収益性の改善により純利益が拡大した。竹中直文社長は「収益重視を徹底した結果、計画通りの利益を確保できた」と述べた。
米国・欧州でデータセンター需要拡大
米国市場ではAI関連データセンターの建設が急増しており、冷却装置の受注が大きく伸びた。地域別では米州の売上高が9789億円(2%増)となり、北米事業が業績をけん引した。一方、欧州でもアプライド(大型空調機器)が堅調に推移し、売上高は3614億円(3%増)を記録した。ただし、ヒートポンプ市場の回復は想定より遅れている。
国内市場でルームエアコン販売が増加
国内では猛暑の影響を受け、家庭用ルームエアコンが大きく伸びた。売上高は3406億円(5%増)となり、主要地域の中で最も高い伸びを示した。訪日客の増加により、小売や宿泊施設の新設が進み、業務用空調機器の需要も上昇した。
為替と関税が業績に影響
為替が円高に振れたことにより、輸出採算はやや悪化した。また、トランプ米政権による高関税政策が営業利益を押し下げる要因となった。影響額は当初見込みの470億円から420億円に縮小したが、依然として収益を圧迫している。竹中社長は「生産地や調達ルートの見直しでリスクを最小化した」と述べた。
通期見通しと今後の展望
ダイキンは2026年3月期の純利益予想を2800億円に引き上げ、売上高は4兆8400億円と据え置いた。AI普及によるGPU冷却需要の増大を追い風に、米チルダイン社の液体冷却技術を取り入れた製品展開を加速させる方針である。竹中社長は「冷却分野を成長の柱に据え、次の段階へ進む」と述べた。
