パナソニックHD、構造改革とAI投資で事業再編加速

井村 智規
经过

利益予想を2,600億円へ修正、米市場環境が重荷

パナソニックホールディングス(HD)は2026年3月期の通期純利益見通しを2,600億円へ引き下げた。米国でのEV需要鈍化と補助金終了が業績に影響し、期初の想定を大きく下回る形となった。特に北米工場の車載電池生産は遅れが発生し、供給網の再構築を迫られている。

構造改革費用1,500億円、1万人規模の再編を実施

同社は経営効率化の一環として1万人の従業員削減を実施中である。構造改革費用は当初計画より200億円増の1,500億円に達する見通しで、人員の適正化と拠点統廃合を同時に進める。これにより、固定費の削減と収益構造の改善を図る戦略を明確化した。

テレビ事業は撤退せず再構築へ

業績改善が課題とされてきたテレビ事業では、売却や撤退を行わず、26年度中の黒字化を目指す姿勢を強調した。楠見社長は「オペレーション改革により課題事業から脱却する見通し」と述べ、今後は製品の高付加価値化と販売体制の再整備に注力する。

日米AI連携枠組みに参画、エネルギー分野強化

日米両政府が発表した最大5,500億ドル(約83兆円)規模の投資プロジェクトにおいて、パナソニックHDはAIインフラ強化企業の一角として名を連ねた。エネルギー貯蔵や電子機器供給分野での参画が想定されており、最大2兆2,600億円規模の事業機会が見込まれている。楠見氏は「機会があれば積極的に検討する」と述べ、AIと電力分野の両輪による成長を見据える。

減収減益も、国内事業は底堅く推移

2025年9月期の中間決算では売上高3兆8,204億円(前年比10.1%減)、純利益1,424億円(同24.6%減)を記録した。アジア市場での家電需要低迷が響いた一方、国内の空調関連製品は堅調であった。全体としては減収減益ながらも、構造改革の効果が下期に表れる可能性がある。

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