文化交流で関係温める日韓会談 贈答に象徴的意味

井村 智規
经过

慶州で初の会談、親密ムードを演出

10月30日、韓国南東部の慶州で高市早苗首相と李在明大統領が初めて対面した。両首脳は約40分の会談を行い、外交・安全保障から文化交流に至る幅広い議題を確認。会談は終始和やかに進み、次回は日本で再会することで一致した。

就任後初の訪韓、対話重視を表明

高市首相は今回の訪韓を「未来志向の協力を築くための第一歩」と位置づけ、安保と経済両面での協力を強調した。特に北朝鮮の非核化や拉致問題の解決に向け、日米韓の緊密な連携が不可欠との認識を示した。韓国側は歴史問題を議題とせず、実務的関係の構築を優先する姿勢を取った。

李大統領、就任を祝し贈り物を用意

会談では、李大統領が韓国コスメとのりを贈呈。これは高市氏が就任会見で「韓国のりが好きで、韓国コスメも愛用している」と語った発言に基づくものだ。大統領府によると、「隣国首脳への敬意と親しみを込めた贈り物」として準備されたという。

高市首相も碁石で返礼、文化の懸け橋に

高市氏もまた、李氏の出身地・安東市と交流のある鎌倉市産の碁石を贈った。囲碁を嗜む李氏への心遣いが見られ、文化を通じた親善の意図が込められている。両首脳の贈答は、冷え込みがちだった日韓関係に温かみを与える象徴的な場面となった。

歴史問題回避で関係改善に手応え

今回の会談では、徴用工や領土問題といった懸案には触れず、協力を前面に出す形で終始。高市首相は「両国が互いを理解し、安定的に関係を発展させることが重要」と語り、李大統領も「全面的に共感する」と応じた。シャトル外交の再開を通じ、関係修復への道筋が見え始めている。

この記事をシェア