アマゾンがAI導入で業務効率化 事務系人員削減へ動きが発表

井村 智規
经过

AI活用による効率化の方向性が明らかに

アマゾンは、生成型人工知能(AI)の導入により、数年間のうちに事務系を中心とする企業部門の従業員数が減少する可能性を示していた。経営トップであるAndy Jassy最高経営責任者(CEO)は6月の時点でその見通しを表明しており、今回の最大3万人削減の報道は、この方針に沿った動きと受け止められる。

AI活用で対象となる業務範囲が判明

報道によれば、対象となるのは人事、デバイス開発、サービス運用、オペレーションなど、管理・企業部門の幅広い部門である。これらの部門では、プロセス自動化や生成AIの導入によって効率化が進んでおり、人員の調整が可能となったと分析されている。アナリストの見方では、アマゾンが本社部門において「十分にAIによる生産性向上を実現」した可能性があるという。

人員削減とAI戦略の結びつきが確認された

最大3万人の削減計画は、まさに管理部門の再編とAI活用の進展とがリンクした動きとみられており、単なるコスト削減を超えて、「業務構造の転換」を伴うものである。アマゾンでは、過去2年ほどで比較的小規模の人員削減を実施してきたが、今回の措置はその範囲を大きく上回る規模となる。

長期的なAI投資との関連と財務課題が露呈

アナリストは、今回の大規模削減は「AIインフラ構築への長期投資を相殺するための短期的圧力」との見方を示しており、アマゾンが上げる効率化・成長の投資と、短期的な収益・コスト管理の間で両立を図っている点が浮き彫りとなった。

業界全体に及ぶ示唆が導かれる

アマゾンの動きは、管理・事務系業務のAIによる代替を具体化したケースとして、他企業にも大きな参考となる。日本国内においても、同様の導入・人員構成見直しが議論されており、今後の雇用構造や職務分離の流れに影響を与える可能性がある。

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