大阪副首都構想、経済波及への期待と課題 財政負担7兆円超の試算も

井村 智規
经过

大阪発の大型構想に市場が反応

自民党と日本維新の会の連立政権合意を受け、維新が掲げる「副首都構想」が注目を集めている。大阪に副首都機能を整備する計画が実現すれば、経済活性化の起爆剤になるとの見方が広がり、20日の東京市場では関西企業の株価が急伸した。阪急阪神ホールディングスは一時4,600円まで上昇し、浅沼組も過去10年で最高値を更新した。

首都機能の一部移転を想定

副首都構想の法案骨子では、目的として「東京一極集中の是正」「災害時の代替機能」「新たな経済圏の形成」が掲げられている。国から地方への税源移譲や、国会・省庁の一部移転、関連インフラ整備などが柱である。維新は法案を来年の通常国会で成立させるよう自民に求めており、法的整備が副首都化の前提となる。

莫大な費用が計画の行方を左右

ただし、構想には莫大な資金が必要とされる。国土交通省の過去の試算では、国会を中心とした機能を地方都市に移す場合4兆円、行政機能の半分を移転する場合には7.5兆円が必要とされる。消費税収換算で約3%分に相当する規模であり、物価高や財政負担を抱える中で、国民的な理解を得るのは容易ではない。

大阪再編と住民投票の行方

維新が目指す副首都指定には、特別区の設置が条件とされる。このため、大阪府が申請する場合には大阪市を廃止し、複数の特別区に再編する「大阪都構想」の実現が不可欠となる。過去2度否決された都構想の再挑戦に向け、維新は3度目の住民投票の準備を進めるとみられており、地域再編を巡る議論が再燃しそうだ。

政策効果の検証が焦点に

副首都構想は、国家の防災力と地方分散の推進という意義を持つ一方、財政負担や都市集中の副作用も懸念される。専門家は「国民の理解を得るには、費用対効果の明確な検証が不可欠」と指摘する。政策の実現性と経済効果の両面が、新政権の最初の試金石となる。

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