維新、連立協議で存在感強調 「理念」と「現実」の狭間で試練

宇津木 柊
经过

政策協議で譲れぬ主張、「政治とカネ」に一線

自民党との連立を視野に入れた日本維新の会の交渉姿勢が注目を集めている。16日に行われた政策協議で、維新側は「企業・団体献金の廃止」を柱に据え、自らのクリーンな政治姿勢を改めて示した。党内では「ここは譲るな」との声が相次ぎ、維新の象徴的政策としての位置づけを維持している。一方、自民側は公開制の拡充を重視し、双方の溝は埋まらないままだ。

「大人の交渉」と語る柔軟戦略、譲歩余地も残す

維新の藤田文武共同代表は協議後、「旗は降ろさない」と語りながらも、「どこまですり寄れるかを探る」と述べ、妥協の余地を示唆した。党内の強硬論を抑えつつ、現実的な合意を模索する姿勢を示した形だ。この「大人の交渉」という言葉には、理念を貫きながらも政権参加への現実的路線を歩む決意がにじむ。

政策の一致点を強調、副首都構想で前進

協議では、災害時の首都機能バックアップを目指す副首都構想や、社会保障改革など、維新が掲げてきた政策が議題に上った。藤田氏は「国家の基本政策で価値観を共有している」とし、両党の親和性を強調。高市総裁も「積極財政への理解を示している」として、対立よりも共通点を前面に押し出した。これにより、協議は対立型から協調型への転換点を迎えたといえる。

信頼関係を演出し、政権参加への地ならし

藤田氏は会見で「信頼関係が一段上に進んだ」と述べ、高市氏との距離の近さを強調した。維新代表の吉村洋文大阪府知事も「高市氏の熱い思いを感じた」と語り、党首レベルでの相互信頼を印象づけた。自民側も維新に閣僚ポストを打診したとされ、連立に現実味が増している。

少数与党の限界、次の一手に注目集まる

しかし、現状の議席構成では、自民と維新を合わせても衆参ともに過半数を割り込む。少数与党の政権運営は不安定要素を伴い、他党との連携が不可欠だ。藤田氏は「全部丸のみするなら同じ党だ」とも語っており、全政策の採用を求めない柔軟な姿勢を見せている。理念を保ちながら現実に即した合意形成をどう図るか、17日の再協議に注目が集まっている。

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