トレーディング事業が業績を牽引
2025年第3四半期決算で、モルガン・スタンレーは市場の変動を捉えた取引拡大により過去最高の四半期収益を達成した。特に株式トレーディング部門は41億2000万ドルと前年比35%増を記録し、ゴールドマン・サックスを上回った。株式市場のボラティリティ上昇とトランプ政権の政策による市場不安が、取引活発化を促した格好だ。
M&AとIPOが記録的水準に達する
企業の戦略的再編が活発化し、M&A総額は世界で3兆ドルを突破。同社の投資銀行収入は44%増、アドバイザリー業務は25%増と、取引成立件数の増加が顕著だった。IPO市場の回復も顕著で、株式引受業務は80%増と急拡大。債券引受も39%増を記録し、企業資金調達の再活性化を示す結果となった。
総収益182億ドル、予想を大幅に上回る
四半期総収入は182億ドルと、アナリスト予想の約167億ドルを大幅に上回った。トレーディング全体の収入は62億9000万ドルに到達し、債券取引も8%増と安定。業績拡大を背景に株価は取引時間中に約6%上昇した。金融市場の流動性回復と企業活動の再活性化が収益の基盤を支えている。
富裕層向け事業で安定収入を確保
ウェルスマネジメント部門の収入は82億ドル(13%増)。新規資金流入額は810億ドルに達し、顧客資産は8兆9000億ドルまで増加した。同部門は依然として同社の中核収益源であり、今後も長期的な顧客基盤拡大が見込まれている。
コスト上昇と効率化の両立が課題
非金利費用は122億ドル、人件費は74億4000万ドルに増加。前年同期比10%増となり、収益性を維持するうえでの課題が浮き彫りとなった。業績は好調だが、効率性とコスト圧縮のバランスが今後の経営課題として注目される。